「年明け精算」は対象外? 確定申告前に確認したい「医療費控除のポイント」を解説

配信日: 2023.03.06

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「年明け精算」は対象外? 確定申告前に確認したい「医療費控除のポイント」を解説
高額な医療費を支払った場合、確定申告で医療費控除の申請をすると税金をその分、安く抑えることができます。では、年内に受けた診療・治療にかかる医療費を年明けに精算した場合、医療費控除の対象になるか、ご存じでしょうか?
 
本記事では、確定申告前にチェックしておきたい医療費控除のポイントと、年明けに精算した医療費が控除の対象になるかについて解説します。

医療費控除って何?

1月1日から12月31日までの1年間の間に、自分または生計を一にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合、一定金額を超えると医療費控除の適用を受けることができます。
 
医療費控除の金額は、次の計算式で算出した金額(最高で200万円)になります。
 
医療費控除の金額=支払った医療費の合計額-保険金等で補てんされる金額-10万円※
※総所得金額が200万円以下の場合、総所得金額×5%の金額
 
医療費控除の対象となる医療費は、家族の分も合算して計算することができます。例えば、単身赴任中の家族や、仕送りをしている別居の子どもの分も合算することが可能です。
 
また、医療費控除は年末調整では適用を受けることはできません。確定申告で申請するようにしましょう。
 

医療費控除の対象となる医療費

医療費控除の対象となる医療費を見てみましょう。

≪診察・治療≫

●医師による診療または治療の費用
●健康診断または人間ドックの費用(健康診断等の結果、異常が見つかり治療を受けることになった場合)
●治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の費用
●不正咬合等の治療としての歯列矯正
●虫歯の治療や入れ歯、インプラントの費用(一般的な水準を著しく超えない費用)

※入院に際し購入した洗面具等の身の回りの品にかかる費用、自分や家族の都合で個室に入院した場合の差額ベッド代、医師や看護師へのお礼等は医療費控除の対象外なので注意しましょう。

≪医薬品・医療機器≫

●治療または療養に必要な医薬品(市販薬含む)の費用
●医師等による診察や診療を受けるために直接必要な義手や義足、松葉杖、補聴器等の費用

≪妊娠・出産≫

●妊娠中の定期健診・検査の費用
●出産前後の入院費
●不妊治療・人工授精費用

その他、通院のための交通費も対象となります。通常は電車やバス等の公共交通機関を使ったときの交通費が対象ですが、緊急時や公共交通機関が利用できない場合には、タクシー代も対象になります。自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。
 

年明け精算の医療費は医療費控除の対象になる?

年末から年明けにかけて受診や入院をした場合、年明けに医療費を支払うことになる可能性もあります。年内に診察・治療を受けたにもかかわらず支払いが翌年になった場合、医療費控除の取り扱いはどうなるのでしょうか。
 
結論からいうと、実際に支払った年の医療費控除の対象になります。医療費控除の対象になるかどうかは診療日や請求日ではなく、支払日が基準となるからです。
 

マイナポータル連携で医療費控除の申請が簡単に!

医療費控除の申請には、原則として「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付する必要があります。この「医療費控除の明細書」は領収書ごとに1つひとつ入力するか、医療を受けた人・医療機関ごとにまとめて記入することが必要です。
 
不必要な手間を減らすために活用したいのが、マイナポータル連携です。マイナポータル連携を利用すれば、基本的には確定申告時に医療費控除の明細書の情報が自動で取得でき、明細書の作成が不要になります。
 

まとめ

本記事では、医療費控除のポイントと、医療費の年明け精算が医療費控除の対象になるかについて解説してきました。入院や手術をした人、インプラントや歯科矯正をした人、妊娠・出産があった場合などは医療費控除の対象になる可能性があります。
 
また、自分だけでなく家族が支払った医療費も合算して10万円を超えていたら基本的に医療費控除の適用を受けることができます。家族分の医療費も含め、医療費控除の対象になるかを確認してみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 不妊症の治療費・人工授精の費用
国税庁 マイナポータル連携を利用した医療費控除の入力について
 
執筆者:齋藤彩
AFP

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