更新日: 2023.03.11 その他税金
副業も関係ある? 電子帳簿保存法とは? 何を保存しておかないといけないの?
本記事では、副業をされている方に向けて、電子帳簿保存法と保存すべき電子データについて解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法の正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
この法律は、所得税法、法人税法などの各税法で、原則として紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、(1)一定の要件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること、(2)電子的に授受した取引情報の保存義務などを定めた法律です。
電子帳簿保存法では、電磁的記録による保存を、以下のように区分しています。
(1)電子的に作成した帳簿・書類をそのまま保存する(電子帳簿等保存)
(2)紙で受領・作成した書類を画像データで保存する(スキャナ保存)
(3)電子的に授受した取引情報をデータで保存する(電子取引)
今回の改正で最も影響があるのは、電子取引の取引情報に関する点です。現在の法律では、電子取引を行った場合、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査などの際に提示・提出できるようにしていればよいとされています。
しかし、義務化後の2024年1月からは、保存要件に従い電子データを保存しなければなりません。
保存すべき電子データ
上記の改正は、副業をされている方にも関係があります。ただし、副業をされている方全員ではありません。関係があるのは、以下の項目全てに該当する方です。
・収入の区分を雑所得としている
・前々年の収入が300万円を超えている
・電子取引(※)を行っている
(※)電子取引とは、取引情報(注文書、契約書、送り状、領収書、見積書など)のやり取りを電磁的方式により行う取引のこと
これらに該当する方は、2024年1月から、「現金預金取引等関係書類」を電子データで保存しなければなりません。現金預金取引等関係書類とは、請求書、領収書など、現金の受け取り・支払いまたは預貯金の預け入れ・引き出しに際して作成されたものをいいます。
まとめ
2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、2024年1月より電子保存が義務化されます。この改正により、電子取引を行った場合の電子データの保存方法が変わります。
これまでは保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査などの際に提示・提出できるようにしていればよいとされていましたが、改正後は保存要件に従い電子データを保存しなければなりません。
副業をされている方であっても、以下の項目に該当する場合は、保存要件に従い電子データを保存しなければなりません。
・収入の区分を雑所得としている
・前々年の収入が300万円を超えている
・電子取引を行っている
副業の場合、保存すべき電子データは「現金預金取引等関係書類」です。具体的には、請求書や領収書などです。つまり、契約書の締結や注文書のやり取りを電子的に行った場合、それに関連する金銭授受についての書類も、電子データで保存しておかなければならないということです。
本記事を読んで、ご自身が今回の改正に関係があると思われたのであれば、必要な準備をしておかなければなりません。必要な準備については、国税庁のホームページにも案内がありますので、そちらも参考にされてはいかがでしょうか。
出典
e-Gov法令検索 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
国税庁 電子帳簿保存法の概要
国税庁 電子取引データの保存方法をご確認ください(令和3年12月改訂)
国税庁 電子帳簿保存法が改正されました
国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】
e-Gov法令検索 所得税法
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー