更新日: 2023.03.27 その他税金
エコカー減税が令和8年4月まで延長? 具体的な内容とは?
本記事では、現行のエコカー減税の概要と延長後の変更点について解説します。なお、本記事で解説するのは「乗用車」についてのみです。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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エコカー減税の概要
エコカー減税は、排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車に対する自動車重量税が、それらの性能に応じて免税・軽減されるという制度です。
自動車重量税は、検査自動車に対し課税されます。検査自動車とは、自動車検査証の交付を受ける自動車のことです。簡単にいえば、自動車重量税は、新車購入(新規車検)や車検(継続検査)の際に課税されます。
現行のエコカー減税の適用期間は、令和3年5月1日から令和5年4月30日までです。この期間に、環境性能に優れた(一定の基準を満たした)検査自動車が新規車検を受け、自動車重量税を納付するとき、自動車重量税が減免されます。
また、上記の検査自動車のうち、電気自動車、プラグインハイブリッド車など特に環境性能に優れた自動車については、環境に影響を及ぼすような一定の改造が行われている場合を除き、初回継続検査で課税される自動車重量税も免除されます。
令和3年5月1日から令和5年4月30日までに乗用車の新車新規登録などを行った場合、エコカー減税の適用を受けるには、以下の基準を全て満たす必要があります。
(1)平成30年排出ガス規制50%低減
(2)令和2年度燃費基準を達成している
(3)令和12年度燃費基準を60%以上達成している
なお、令和12年度燃費基準については、その達成率により、自動車重量税の軽減率が以下のように異なります。
・令和12年度燃費基準を120%以上達成:免税(初回継続検査時も免税)
・令和12年度燃費基準を90%以上達成:免税
・令和12年度燃費基準を75%以上達成:50%軽減
・令和12年度燃費基準を60%以上達成:25%軽減
延長後のエコカー減税の変更点
令和5年度税制改正により、エコカー減税の適用期間は令和8年4月30日までとされました。
ただし、変更点があります。変更点をまとめると、図表1のとおりです。なお、図表1の「%」「達成」は、令和12年度燃費基準に対する達成の程度を表します。
【図表1】
特例措置の内容 | 現行の基準 | 令和6年1月1日 以後 |
令和7年5月1日 以後 |
---|---|---|---|
免税 | 90%以上 | 現行と同じ | 達成 |
50%軽減 | 75%以上 | 80%以上 | 90%以上 |
25%軽減 | 60%以上 | 70%以上 | 80%以上 |
※筆者作成
これを見ると、エコカー減税の特例措置は延長されるものの、その適用を受けられる基準が段階的に厳格化されているのが分かります。例えば、現行の制度では自動車重量税が「免税」となる場合(令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上)であっても、令和7年5月1日以後は、「50%軽減」にとどまります。
まとめ
本記事では、令和5年度税制改正に伴うエコカー減税の適用期間延長をテーマに、エコカー減税の概要、税制改正による変更点について解説しました。
エコカー減税は、排出ガス性能や燃費性能に優れた自動車に対する自動車重量税が、それらの性能に応じて免税・軽減されるという制度です。令和5年度税制改正により、この制度は令和8年4月まで延期されることとなりました。
ただし、特例の適用を受けられる基準は段階的に引き上げられていきます。現行の制度では特例措置を受けられる基準であっても、特例措置を受けられなくなる可能性があります。
本記事を読んで、エコカー減税の延長について理解を深めていただけたら幸いです。
出典
国税庁 No.7192 自動車重量税のあらまし
国土交通省 エコカー減税 (自動車重量税) の概要
国土交通省 令和5年度税制改正の大綱(抜粋)
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー