更新日: 2020.07.05 ふるさと納税
豪華な食材やお酒だけじゃない!一定期間、名前が残る「ストック」型のふるさと納税返礼品、ご存知ですか?
「納税」となっていますが、実態は自治体(都道府県、市区町村)への寄付です。
執筆者:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
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ふるさと納税をする人は急増しています
「ふるさと納税」は自分の出身地や応援したい自治体に寄付をすると、原則として寄付額から2000円を差し引いた額が、所得税や住民税から控除(上限あり)される制度で、2008年度に始まりました。
「ふるさと納税に関する現況調査結果(税額控除の実績等)」(2017年7月28日 総務省公表)によれば、納税額と適用者数は、次のように急増しています。
2015年度から導入された控除上限の引き上げや、確定申告不要なワンストップ特例(要件あり)などが大きく後押ししているようです。
参考URL:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(税額控除の実績等)」
納税先を選ぶポイントは、やっぱり返礼品・・・
この制度、もともとは就職などで都会に出た地方出身者の税金を、地方へ還元させようという趣旨で創設されました。
そもそも「寄付」なのですから、もちろん最初から返礼品をもらわないことも選択できます。
しかし、実態としては各自治体が返礼品の豪華さ(寄付額に対する返礼率の高さ)やバラエティー(地元産にこだわらない多彩な品揃えや金券・商品券類など)で寄付金集めを競い合う状況になってしまった感があります。
寄付する側も、季節の果物・海産物・牛肉・お酒やジュース等々返礼品の中身や返礼率で寄付先を選ぶ傾向で、ふるさと納税の〝攻略本〟さえ見かける昨今です。
総務省でも、返礼率を三割以内に抑えたり、返礼品を地場産品に絞るように各自治体に通知していますが、返礼品の魅力度合いによって寄付先を選ぶ風潮はまだまだ続くものと思われます。
名前を残す形の返礼もあります
こんな状況ですが、返礼品という「モノ」以外の形で、返礼を受けるふるさと納税もあります。
まず思い浮かぶのは、各地の観光施設や宿泊施設に招待されたり、割引を受けられたり、各種イベントに参加できる「サービス」という形での返礼でしょう。
そして、施設や環境を整備することに協力した人の名前を、銘板・芳名板などに刻む、「名前を残す」形の返礼も広がりつつあります。
具体的にいくつか事例を見てみましょう。(内容は、各自治体のホームページなどをもとに取りまとめたものです)
以上はほんの一例ですが、<事例4>を除けば各自治体の進める公益的な整備事業等を応援する内容となっています。
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「モノ」から「コト」へのトレンド
「クラウドファンディング」は、不特定多数の人々がインターネットなどを経由して特定の人や組織の進めるプロジェクトやイベントなどに、資金提供や協力を行うことですが、これをふるさと納税制度と組み合わせた形は「ガバメントクラウドファンディング」と呼ばれています。
各自治体による返礼品競争の過熱を是正する趣旨などから、総務省もこうした形の拡充を促しているようです。
ふるさと納税も返礼品の内容やおトクさを競う「モノ」から、寄付金が意義ある用途に集積して生かされるような「コト」へと少しずつウェイトを移している状況ともいえるでしょう。
「モノ」はいわば「フロー」で、一度摂取しておしまいです。一方、「コト」は「ストック」なので、一定期間は形が残ります。「ストック」型のふるさと納税を検討してみるのも一考でしょう。
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士,不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー