更新日: 2023.04.13 控除

「生命保険料控除」って何? 誰でも利用できる?

執筆者 : 新美昌也

「生命保険料控除」って何? 誰でも利用できる?
生命保険に加入している会社員の方は、年末調整の際、生命保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して勤務先に提出し、「生命保険料控除」を受けています。
 
しかし、離婚をして受取人が元配偶者のままだと、「生命保険料控除証明書」が発行されても「生命保険料控除」は受けられません。
 
誰が控除を受けることができるのか、など「生命保険料控除」について知っておきたいことを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

生命保険料控除の種類

生命保険料控除は所得控除の1つです。納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができ、所得税・住民税が軽減されます。
 
平成24年1月1日以降に締結された契約の生命保険料控除には、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つがあります。控除上限額はそれぞれ所得税4万円、住民税2.8万円です。
 
それ以前は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2つで、控除上限額はそれぞれ所得税5万円、住民税3.5万円でした。新旧両制度を併用した場合、控除上限額は所得税12万円、住民税7万円となります。
 
なお、損害保険会社で加入しても、医療保険、がん保険、介護保険などは生命保険料控除の対象です。一方、生命保険会社で加入しても、体の傷害のみにもとづいて保険金が支払われる傷害特約などの保険料は控除対象外です。少額短期保険の掛け金も対象外です。
 

生命保険料控除の適用対象者

生命保険料控除を受けるためには条件があり、保険金の受取人のすべてを「その保険料の払い込みをする者、またはその法律上配偶者かその他の親族(6親等内の血族と3親等内の親族)」とする必要があります。
 
したがって、受取人が離婚した妻(夫)、内縁の配偶者の場合は生命保険料控除を受けることができません。例えば、妻と離婚した後、受取人を子に変更するまでに支払った保険料は、生命保険料控除の対象外です。
 
なお、契約者が誰であるかは要件とされていません。1月1日から12月31日までに、実際に保険料を支払った人(自動振替貸付により払い込んだ場合も含む)のみが生命保険料控除を適用できます。中途解約した場合、解約日までに支払った保険料は控除対象です。
 
また、個人年金保険料控除を受けられるのは、「個人年金保険料税制適格特約」を付加した個人年金保険の保険料です。この特約を付加するには、次の条件をすべて満たす必要があります。

・年金受取人が契約者か、またはその配偶者であること
・年金受取人が被保険者と同一人であること
・保険料の払込期間が10年以上であること
・確定年金・有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降であること、かつ受取期間が10年以上であること

 

一時払いと全期前納では控除を受けられる回数が違う

保険期間全体に対応する保険料を一度に払う方法として、一時払いと全期前納があります。
 
一時払いのほうが保険料の割引率が高いものの、一時払いをした場合は、その金額を払い込んだ年にしか控除の対象になりません。
 
一方、全期前納の場合、一括して支払われた保険料は保険会社が預かり、払込期日が到来するごとに保険料に充当されるという仕組みから、毎年控除の対象です。
 

商品名と控除の種類は一致しない場合も

例えば、介護を保障する商品でも、死亡保険金の額が一定額を超えるものは、「介護医療保険料控除」の対象ではなく「一般生命保険料控除」の対象です。
 
個人年金保険料税制適格特約を付加しない個人年金や、変額個人年金などは、一般生命保険料控除の対象です。商品名と控除の種類は一致しない場合もあるので注意しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1140 生命保険料控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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