障害者手帳がなくても障害者として控除を受けられることがあるって本当?
配信日: 2023.05.05
しかし、例外的に障害者手帳がなくてもよいとされることもあります。そこで、障害者手帳がなくとも障害者控除を受けられる場合について確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
障害者控除と障害者手帳
最初に障害者控除の内容について確認しておきましょう。
障害者控除とは、本人や同一生計の配偶者、扶養する親族が所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除です。所得税から控除される額は障害の度合いや同居の有無などによって27万円から75万円、住民税については26万円から53万円となっています。
障害者控除の適用を受けるには基本的には障害がある方が障害者手帳を所有していることが要件とされています。
とはいえ、実際には障害を抱えているのに障害者手帳を有していないという方も少なくありません。これは障害者手帳の交付要件となる障害の度合いには規定があり、抱えている障害がその規定に達していないことが主な理由となるでしょう。
そのため、何らかの障害があり介護保険上の要介護状態にあっても障害者手帳が取得できず障害者控除を受けられないということもあるのです。
市区町村長の認定を受ければ障害者手帳なしで障害者控除を受けられる
障害者控除の適用を受けるためには障害者手帳を有していなくとも「障害者控除対象者認定書」という書類を毎年発行することでも代用することができます。
障害者控除対象者認定書は市区町村長が障害者に準ずると認めた方に発行される書類です。この発行を受けられると障害者手帳を有しない方でも障害者に準ずる者として障害者控除の対象となります。その控除額は障害者手帳を有する方と同様になります。
障害者控除対象者認定書の発行を受けるには下記の条件全てを満たすことが必要です。
・65歳以上であること
・控除を受けようとする年の12月31日時点で要介護認定を受け、主治医意見書の障害高齢者の日常生活自立度がAからCまたは認知症高齢者の日常生活自立度が2からMに該当すること
申請先は障害者としての認定を受ける方が住んでいる市区町村の担当窓口となります。ただし、実際に申請が受理され書類の発行にまで至れるかどうかは申請先の市区町村の審査によります。
そのため、A市では認定を受けられる方でもB市では認定を受けられないという可能性もあります。この点、自治体によって審査が厳しい場所と簡単に通る場所との差が存在する可能性があるという点にも注意をしておいてください。
障害者控除対象者認定書は5年前までさかのぼることができる
障害者控除対象者認定書はその存在を知らない方も少なくありません。しかし、この認定書は申請する年から起算して5年前までさかのぼって申請することができます。また、さかのぼっての申請はまとめて行うことができます。障害者控除対象者認定書の申請は過去の分もまとめて行うことをおすすめします。
仮に5年分障害者控除の適用が受けられるとすると、確定申告と還付申告によって所得税だけで135万円以上の控除が受けられることになり、かなり大きな額の税金が戻ってくることになります。
障害者手帳がなくても障害者控除を受けられることがある
障害者控除は障害者手帳がなくとも、障害者控除対象者認定書を市区町村に申請して発行を受けることで適用される場合があります。自身や家族に何らかの障害がある場合や、介護状態となっている方がいらっしゃる場合はぜひ申請を検討してみてください。
自身での申請が難しい場合は行政書士という行政手続きの専門家に相談することで手間なく申請できることもあります。申請に不慣れな方は手間がかかるかもしれませんが、大きな額の控除を受けられる可能性があるのであきらめずに申請をしてみてください。
執筆者:柘植輝
行政書士