更新日: 2023.05.08 控除

【手取りを増やしたい】会社員がすぐに活用できる控除はどんなものがある?

執筆者 : 中村将士

【手取りを増やしたい】会社員がすぐに活用できる控除はどんなものがある?
「もう少しお給料があったら……」と、誰もが一度は考えたことがあるでしょう。しかし、会社員の場合、給料を増やすのは簡単ではありません。そのため家計のやりくりは、どうしても節約の方向に進んでいきます。
 
収入を増やすことが難しくても、実は手取り収入を増やせる可能性はあります。本記事では、会社員が活用できる控除について解説します。本記事を読んで、手取り収入を増やす可能性を探ってみましょう。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

手取り収入を増やす方法は、所得税、住民税を減らすこと

手取り収入のことを「可処分所得」といいます。可処分所得は、収入(給与・賞与)から社会保険料、所得税、住民税を差し引いて求めます。計算式にすると以下のとおりです。
 
可処分所得 = 収入 -(社会保険料 + 所得税 + 住民税)
 
この式から、手取り収入を増やすためには、以下の方法しかないことが分かります。
 

●収入を増やす
●社会保険料、所得税、住民税を減らす

 
このうち、取り得る方法としては、所得税、住民税を減らすことです。
 
収入を増やすことは容易ではありません。社会保険料は、収入に応じて決められているため、減らすことができません。所得税、住民税については、所得控除、税額控除があり、上手に活用すれば手取り収入を増やすことにつながります。
 

所得控除、税額控除の概要

所得控除とは、所得税・住民税を計算する上で基礎となる課税所得金額を算出する際に、所得から差し引くものをいいます。
 
所得控除には、人的控除と物的控除があり、分類すると図表1のようになります。
 
【図表1】
 

人的控除 基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、
障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除
物的控除 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除(所得税のみ)

 
※筆者作成
 
税額控除とは、所得税・住民税を算出した後、申告・納付税額を算出する際に、算出税額から差し引くものをいいます。税額控除には、住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)、配当控除、外国税額控除などがあります。
 

活用したいのは医療費控除(セルフメディケーション税制)

これらの控除のうち、活用したいのは「医療費控除」です。医療費控除とは、自分または生計を共にする家族の医療費を支払い、その医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額について、所得から差し引けるというものです。
 
この控除を、次に述べるセルフメディケーション税制と区別して、「通常の医療費控除」ということにします。
 
医療費控除の特例として、セルフメディケーション税制というものがあります。この制度は、健康の保持増進、および疾病の予防への取り組みを目的として、自分または生計を共にする家族の特定の一般用医薬品などを購入し、その購入額が一定の金額(1万2000円)を超えた場合、その超えた金額について、所得から差し引けるというものです。
 
なお、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択制であり、併用することはできません。
 
本記事で医療費控除を取り上げたのは、それを行うためには確定申告をしなければならないからです。
 
一般に会社員は、年末調整で所得税の課税関係は終了します。つまり、本当は医療費控除ができるにもかかわらず、申告をしていないために控除していない可能性があるということです。
 
一般に「手取り収入が増やせる」「節税できる」といわれている控除は、その大半が年末調整で控除できるものであり、現状から手取り収入を増やす(節税する)ためには、新たな支出を伴います。
 
しかし医療費控除については、新たな支出を伴うことなく手取り収入を増やせる可能性があります。
 

まとめ

本記事では、手取り収入を増やす方法として、医療費控除(セルフメディケーション税制)を紹介しました。医療費控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
 
もしもあなたが医療費控除のことをご存じなく、毎年、年末調整で課税関係が終了しているのであれば、医療費控除の申請をすることにより、手取り収入が増えるかもしれません。
 
医療費控除は、医療費を支払った場合にのみ控除を受けられるわけではありません。健康維持、病気の予防のために特定の医薬品を購入しているのなら、セルフメディケーション税制を利用できる可能性があります。
 
医療費控除、セルフメディケーション税制についてご存じなかった方は、この機会にご認識いただき、できるだけ活用していきましょう。本記事を参考にしていただければ幸いです。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1100 所得控除のあらまし

名古屋市 所得控除

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1200 税額控除

名古屋市 税額控除等

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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