車を手放したのに「自動車税」の納税通知が! 放置すると「差し押さえ」に!? 理由や対処方法を解説
配信日: 2023.05.09
本記事では、車を手放したのに自動車税の納税通知が届く理由や、対処方法を説明します。
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
車を手放したのに自動車税の納税通知が届く理由
自動車税は、4月1日時点での所有者がその年の5月31日までに支払わなければなりません。そのため、4月1日時点で車を所有して、その後に車を手放した場合は、自動車税納税通知が自分の元に届きます。
「すでに自分の車ではないのだから放置しておけばよいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、放置してはいけません。自動車税を納付しないままにしておくと、延滞金がかかり、車検が受けられなくなります。
さらに、放置すると財産を差し押さえられる可能性もあります。このような場合に自動車税として支払った金額を取り戻す方法としては、還付制度を使う方法があります。
還付制度とは
還付制度とは、いったん納付した自動車税が返還される制度のことです。ただし、還付制度を利用するには、車の「抹消登録」を行う必要があります。抹消登録には永久抹消登録と一時抹消登録の2種類があります。
永久抹消登録とは
永久抹消登録とは、車を完全に廃車にすることです。スクラップにするため、後日再登録することはできないほか、車はリサイクル事業者に引き渡す必要があります。事故で全損したからといって手続きを行わずに放置したままでは、廃車とはみなされないため注意が必要です。
一時抹消登録とは
一時抹消登録は、ナンバープレートを返納しても車の解体は必要ないため、後日再登録することが可能です。海外へ数年間赴任するなど車をしばらく使用できない場合に利用されます。
還付制度を利用する際の注意事項
還付される金額は、運輸支局での手続きを行った日の翌月から年度末までの月割金額です。例えば、11月に抹消登録をした場合は、12~3月までの4ヶ月分が還付されます。
そのため、4月に手続きを済ませたとしても、最低でも1ヶ月分の自動車税は支払う必要があります。また、廃車にする場合は永久抹消登録に該当するため還付制度を利用できますが、売却の場合は永久抹消登録にも一時抹消登録にも該当せず、還付制度が利用できません。
ちなみに、軽自動車は自動車税ではなく「軽自動車税」を納付します。軽自動車税には、自動車税のような還付制度はありません。
売却した場合、自動車税はどうなる?
車を売却した場合に還付制度が利用できないのであれば、4月1日以降に売却した場合は、自分の車ではないにもかかわらず自動車税を支払わなければならないのでしょうか。
先述したとおり、還付制度による返還はないのですが、実際には買い取り価格に自動車税の分が上乗せされる場合が多いようです。
売却の際に注意しなければならない点は、4月1日より前に売却した場合でも、名義変更の手続きが4月にずれ込んだ場合には納税通知が自分のところにくることです。4月前後に車を売却する際は、自動車税の取り扱いがどのようになるのか買い取り業者に確認をとっておくと安心でしょう。
まとめ
自動車税は4月1日時点の所有者が支払う義務があります。しかし、車の抹消登録をすれば、いったん納付した自動車税が返還される還付制度が利用できます。
廃車にする場合も還付制度を利用できますが、売却する際は利用できないため、買い取り価格に自動車税分が上乗せされることが多いようです。4月を挟んで車を手放す際は、後々トラブルにならないように、あらかじめよく確認をしておくことが大切です。
出典
広島県 自動車税種別割
東京都主税局 自動車税種別割
東京都主税局 都税Q&A 自動車税種別割
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士