更新日: 2023.07.02 その他税金
親の援助で家を建てますが、家族にもらうお金にも「税金がかかる」って本当ですか? 絶対に払わなければいけないのでしょうか?
住宅資金として自身の親や祖父母、いわゆる直系尊属が援助をしてくれる場合もしばしば見られますが、親や祖父母からの資金援助にも税金がかかることを知っていますか?
本記事では、住宅取得のために親などから援助してもらった際に発生する税金の話から住宅ローンへの影響まで紹介します。知らないうちに脱税していたなんてことにならないように、税金の仕組みを理解しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
家を建てるために父から800万円の資金援助! 税金はいくらかかる?
本来、資産の受け渡しが起こった際には、受け取った金額に応じて贈与税が発生します。しかし、住宅購入の際に数千万円の出費があるにもかかわらず、税金も徴収されるとなると支払えるのか不安になる人もいるかもしれません。
住宅取得のために父親から800万円の資金援助をしてもらい、省エネ住宅を建てる場合を例に考えてみましょう。結論からいうと、この場合であれば贈与税を支払う必要はありません。
2022年1月1日から2023年12月31日までの間に親などからの資金贈与により住宅を取得した場合は、基礎控除額の110万円に加えて、省エネ住宅等は1000万円、それ以外の住宅であれば500万円の控除を受けられます。
よって、この場合だと省エネ住宅を取得予定であり、融資してもらった800万円全額が非課税の対象になります。
住宅を取得するなら2023年度中がベスト!? 2024年からは援助を受けられないの?
先述したように、住宅取得の際に親などから受けた融資に関しての特例は2023年12月31日までが対象です。しかし、住宅取得のための資金贈与に関する特例のほかに、親などからの生前贈与による課税を緩和する制度として相続時精算課税制度があります。
簡単にいうと、相続時精算課税制度とは最大2500万円までの累積贈与額に対する税額控除により、生前贈与を受けた際の納税額を緩和する制度です。その後、贈与者が亡くなった際に、あらためて相続税として税金を納めるようになります。
2023年12月31日までの贈与に対して相続時精算課税制度を利用すれば、最大で2500万円が、2024年1月1日以降の贈与であれば基礎控除額の110万円も対象となるため、最大で2610万円が控除対象となります。相続時精算課税制度を利用すれば、数千万円の援助を受けた際でも多額の贈与税を納める必要性はなくなるでしょう。
なお、控除額である2610万円を超えた部分に関しては、一律20%の税率をかけた額を納税しなければいけませんが、すでに納めた贈与税額分は還付されます。
資金援助を受けると住宅ローン減税にも影響!? 金額によってはじゅうぶんな補助を受けられないかも
一方で、親などから住宅資金の援助を受ける際には、住宅ローン減税をじゅうぶんに受けられなくなるかもしれません。住宅ローン減税による控除額は、年末のローン残高の0.7%とされていますが、親などからの資金援助を受けた場合、住宅ローン減税の対象となるのは、年末のローン残高から資金援助分を引いた額になります。
仮に、年末時点での住宅ローン残高が2800万円なら控除額は19万6000円です。一方で親などから1000万円の資金援助を受けていた場合、実際の年末ローン残高から援助分を差し引くので、控除額は1800万円の0.7%で12万6000円になります。親などから住宅資金の融資を受ける場合には、念頭に置いておきましょう。
まとめ
住宅資金を親などに援助してもらった場合には、本来であれば贈与税が発生しますが、一定の条件を満たせば最高1110万円が控除されます。また、2024年以降この制度は利用できませんが、相続時精算課税制度を使うことで最大2610万円の受贈時の納税額を緩和できます。
資産を受け取った場合は必ず贈与税が発生しますが、住宅取得のために援助してもらった部分に関しては、特例による緩和措置があるため、場合によっては税金を支払わずにすむかもしれません。実際に自分が建てたい家と資金の総額を検討の上、自分の場合では融資を受けた際に納税額がどの程度なのか、考えてみましょう。
出典
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし
財務省 令和5年度 税制改正(案)のポイント
国土交通省 住宅ローン減税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー