実際、「たばこ税」は高すぎ? お金を煙にしていく喫煙者たち

配信日: 2023.07.10

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実際、「たばこ税」は高すぎ? お金を煙にしていく喫煙者たち
2023年はたばこ税の増税がなく、喫煙者にとって幸運とも言える年になっています。
 
たばこ税の増税は、喫煙者の頭を悩ませる問題になるでしょう。しかし、値上がる事実だけに注目されがちで、実際のたばこの値段の内訳や、どれくらいが税金としてとられているのかはよく分からない、という人も多いでしょう。
 
そこで本記事では、たばこ1箱にかけられる税金の種類と金額について、増税のない今だからこそ徹底解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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たばこにかけられる5種類の税金

「たばこ税」と一口に言っても、かけられている税金の種類はさまざま。
 
たばこにかけられている税金は、5種類に細分化することができます。それぞれの税金と税率は以下の通りです。
 
【表1】

税金 税率
国たばこ税 6802円/1000本
たばこ特別税 820円/1000本
都道府県たばこ税 1070円/1000本
市町村たばこ税 6552円/1000本
消費税 10%

出典:財務省 たばこ税等に関する資料
 

たばこは6割が税金!

ここでは、1箱20本入り580円(2023年7月時点)の「メビウス」シリーズを例に、その内訳をより具体的に見ていきます。
 
【表2】

国たばこ税 136.04円(23.5%)
たばこ特別税 16.4円(2.8%)
都道府県たばこ税 21.4円(3.8%)
市町村たばこ税 131.04(22.6%)
消費税 52.72円(9.1%)
合計 357.6円(61.7%)

出典:日本たばこ産業株式会社(JT) たばこ税の仕組み
 
改めて、1箱あたりの具体的な金額を目の当たりにすると、驚いた方もいるのではないでしょうか。1箱580円のメビウスであれば、その内訳の350円以上である60%超が税金ということになるのです。
 

たばこ税は貴重な財源⁉

なぜたばこ税は、こんなにも高いのでしょうか。それは、たばこ税の歴史とも関係があります。
 
たばこ税の歴史は、1875年にまでさかのぼることができます。当時の「煙草税」はあまり税収がよくなかったようですが、日清戦争(1894‐1895)を契機に、有力な財源として位置づけられるようになっていきました。
 
その後、煙草税則は葉煙草専売法へと変わり、日露戦争(1904‐1905)の資金調達を目的とした完全専売制度への移行・廃止などを経て、1989年(平成元年)の消費税導入と同時に、現在の「たばこ税」へと変わりました。
 
最初のたばこ税の増税は、1998年のたばこ特別税の創設時です。これは、旧国鉄の債務返還のために、国鉄清算事業団と国有林野事業特別会計への税金投入、つまり国の借金返済を目的とした増税でした。
 
つまるところたばこ税は、国や地方自治体にとって決して軽んじることはできない財源になっていると言えるでしょう。
 
2020年に国税庁が発表したデータによれば、国税収などの総計(64兆9330億円)のうち1.5%がたばこ税・たばこ特別税によるものとなっています。
 
いやいや1.5%でしょう…と思った人もいるかもしれませんが、金額にして9520億円。関税が8195億円(1.3%)ですから、たばこ税による税収が軽視できないものであることが分かると思います。
 
また、地方税収では、総計の41兆2115億円のうち2.4%の9934億円が地方たばこ税によるものとなっています。国にとっても、地方自治体にとっても、たばこ税は重要な財源のひとつなのです。
 

まとめ

すでにかなり高額の税金がかかっているたばこですが、世界保健機構(WHO)は、たばこの消費を減らすために、税率を75%まで引き上げるべきと提言しており、健康という観点からも増税の流れは今後も止まりそうにありません。
 
茶葉スティックやべイプのような、減煙・禁煙に使える代替商品も数多く販売されています。次の値上げを待たずして、減煙や禁煙を考え始めてみてもよいかもしれません。
 

出典

日本たばこ産業株式会社(JT) たばこ税の仕組み
財務省 たばこ税等に関する資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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