更新日: 2023.07.12 その他税金
通勤費は103万円の壁に含まれる? 超える前に確認すべきこと
本記事では、103万円の壁と通勤費の関係について紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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基本的に103万円の壁に通勤費は含まれない
それでは、103万円の壁の仕組みと、通勤費の非課税限度額について解説していきます。
103万円の壁と所得税について
パートで得る収入は、通常は給与所得とされています。給与所得の金額は年収から給与所得控除額55万円を差し引いた残額になります。これに基礎控除48万円を加えると、控除額が合計103万になります(※1)。
この控除額内に年収が収まり、ほかに所得がなければ所得税はかかりません。これが「103万円の壁」になります。
通勤費の非課税限度額
次に、通勤費の非課税限度額について見ていきましょう。通勤費は、交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当や、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券代であれば、月額最大15万円まで非課税になります(※2)。
月15万円の通勤費となると、よほどの遠距離通勤でないかぎり支給されることはない金額といえます。ですから、ほとんどの場合、通勤手当の支給額が非課税限度額に収まっていることでしょう。
これら控除額と非課税限度額の関係から、基本的には通勤費は非課税になる場合がほとんどであるため、103万円の壁を超えることは、ほぼありません。
通勤費が課税される場合は? 確認すべき点・注意点
103万円の壁を超えないことにおいては、通勤費が課税されないことが重要になります。そのうえで、確認すべき点と注意点を見ていきましょう。
確認すべき点・注意点
◆交通機関や有料道路を利用した月額通勤費が15万円を超える場合
先ほど紹介したしたように、交通機関または有料道路を利用している人や、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券代の非課税限度額は、ひと月当たり15万円ですから、この金額を超えた場合は課税されます。この点に注意しましょう。
◆車や自転車などで通勤する場合
自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当についての非課税限度額は、以下のように非課税限度額が異なります。
・通勤距離が片道55キロメートル以上:3万1600円
・通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満:2万8000円
・通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満:2万4400円
・通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満:1万8700円
・通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満:1万2900円
・通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満:7100円
・通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満:4200円
・通勤距離が片道2キロメートル未満である場合:全額課税
これらの非課税限度額を超えると課税されるので、注意が必要です。
まとめ
本記事では、103万円の壁と通勤費について紹介しました。基本的には通勤費が支給されても課税されない場合がほとんどでしょう。
しかし、支給額や通勤方法などの条件により課税されるケースもあることには注意が必要です。ご自身が課税される条件にあてはまりそうであれば、通勤費の支給状況を確認してみるとよいでしょう。
出典
(※1)国税庁 No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか
(※2)国税庁 通勤手当の非課税限度額の引き上げについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー