「年間60万円」以上の差に!? 戸建てより「マンションの維持費」のほうが高い理由を解説
配信日: 2023.07.19
同じ新築マイホームであれば、そんなに変わらないと思っているかもしれませんが、実はマンションのほうが高い場合が多いのです。なぜでしょうか。本記事ではその理由について解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
戸建てとマンション共通の維持費
戸建てとマンション、購入した後にかかる維持費は次のとおりです。固定資産税はマンションのほうが高く、火災保険料は戸建てのほうが高くなる傾向があります。
固定資産税
固定資産税は基本的に「固定資産税評価額×1.4%」で計算されますが、自宅については負担が軽減されるように、土地部分にかかる固定資産税は6分の1に軽減される仕組みになっています。マンションにも土地はありますが、敷地を区分所有している形となっており、戸建てに比べると土地の持ち分は少なくなるため、税額への恩恵も少なくなってしまうのです。
また、耐用年数についても違いがあります。鉄筋コンクリート造りのマンションの耐用年数は47年ですが、木造の戸建ては22年です。マンションは戸建てより固定資産税評価額の低下が緩やかになるため、固定資産税もなかなか下がりません。
火災保険料
住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入が条件となっていることがほとんどでしょう。「マンションは災害に強い」といわれているように、火災や水害のリスクが低いことから、戸建てに比べて火災保険料は安い場合が多いです。
マンションのみにかかる維持費
戸建てには絶対にかからないわけではありませんが、マンションに限って発生する可能性が高い費用は以下のとおりです。
駐車場代
マンションでは駐車場の賃借料が必要な場合が多いです。金額は地域によって異なりますが、少なくとも月5000円程度は必要でしょう。戸建てであれば敷地内に駐車スペースを作れば駐車場代はかかりません。
管理費
マンションには住人が共同で使う設備やサービスがあるため、管理費を支払わなければなりません。例えば、マンション管理人の人件費、共有部分の水道光熱費、エレベーターの保守点検費などです。
管理費の支払いはそのマンションに住むための約束事であり、サービスを使わないからといって支払わない選択はできません。国土交通省が行った「平成30年度マンション総合調査結果」によると、駐車場使用料等からの充当額を除く管理費の平均は1万862円となっています。
修繕積立金
修繕積立金もマンション特有の仕組みで、将来の大規模修繕に備えて住人全員で毎月積み立てを行います。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、2018年度における修繕積立金の平均額は月額1万1243円となっています。年間約13万円、50年で約670万円にものぼります。
マンションのみにかかる維持費の合計
マンションの駐車場代5000円、管理費1万円、修繕積立金1万円と仮定すると、戸建てには発生しない維持費が月2万5000円、年間で30万円も発生しています。都心部の地価の高いマンションであれば、60万円以上になるケースもあるでしょう。戸建てとマンションで組んだ住宅ローンの金額が同じであれば、マンションのほうが多くのお金が出て行くということになります。
戸建て住宅でもいずれ修繕は必要になりますが、マンションの修繕積立金のように毎月徴収されるシステムがあるわけではありません。自身で調整しながら積み立てていくことができ、さらに修繕にいくらかけるのかも自身の裁量になります。ただし自由な分、計画性は重要です。
まとめ
マンションの場合、住宅ローンの返済とは別にかかる駐車場代、管理費、修繕積立金が大きな負担になる可能性が高いです。戸建てと同じ住宅ローン金額になる場合には、マンションのほうが月数万円支払額は多くなると思っておいたほうがいいでしょう。
出典
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国土交通省 平成30年度 マンション総合調査結果
国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士