更新日: 2023.07.21 その他税金

通勤手当は「月3万円」です。税金はいくらまでなら非課税ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

通勤手当は「月3万円」です。税金はいくらまでなら非課税ですか?
勤務先への通勤のために自家用車・バイクだけでなく電車・バス・地下鉄など公共機関を使っている場合にも、給与に「通勤手当」がつくのが一般的です。しかし、支給される通勤手当が一定金額以上になると税金がかかる可能性が出てくることをご存じでしょうか。
 
本記事では、通勤手当が非課税になる上限額などを解説します。
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通勤手当の全国平均はどのくらい?

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2014年に行った「企業の諸手当等の人事処置制度に関する調査」によると、通勤手当について常用労働者の月平均額は1万2447円、パート労働者の月平均額は7710円です。
 
常用労働者の平均額を電車の定期券料金に例えると、東京駅から鶴見(神奈川県)・船橋(千葉県)・浦和(埼玉県)までの1ヶ月定期券料金1万2290円に相当します。
 

遠距離通勤している場合、いくらから課税されるの?

通勤手当の非課税限度額は1ヶ月あたり15万円です。この金額は、電車などの交通機関だけで通勤する場合・交通機関と自家用車(自転車も含む)で通勤する場合で共通して設定されています。15万円を超えた部分のお金は、通勤手当や通勤定期券などを支給された月の給与の額に所得税と復興特別所得税を上乗せして源泉徴収されます。
 
自家用車やバイクの通勤手当は「片道距離×2×ガソリン代÷燃費×出勤日数」で計算した金額を毎月払う企業が多いです。常用雇用者だけでなく、アルバイト・パート労働者も同じく月単位で通勤手当を計算します。支店など本来の勤務先と違う場所で勤務を行った場合も、それぞれの勤務地への通勤手当額を計算し、月単位で合計します。
 
自家用車と自転車の通勤手当は片道の通勤距離によって、1ヶ月あたりの非課税限度額が決められています(図表1)。
 
図表1
 

片道の通勤距離 1ヶ月あたりの限度額
2キロメートル未満 全額課税
2キロメートル以上10キロメートル未満 4200円
10キロメートル以上15キロメートル未満 7100円
15キロメートル以上25キロメートル未満 12900円
25キロメートル以上35キロメートル未満 18700円
35キロメートル以上45キロメートル未満 24400円
45キロメートル以上55キロメートル未満 28000円
55キロメートル以上 31600円

 
国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当を基に作成
 
図表1を参考に、自転車と電車を併用して通勤している人の通勤手当見込み額を試算してみましょう。
 

<試算例>

神奈川県の自宅から、東京駅近郊の職場まで通勤しているAさんの通勤手当見込み額
 

(1)東京駅から藤沢駅(神奈川県)までの1ヶ月定期券料金2万5260円
(2)自宅から藤沢駅までの自転車通勤(片道4キロ)の通勤手当4200円
定期券料金2万5260円+自転車通勤手当4200円=合計2万9460円

 
※一般的には、料金が一番安い6ヶ月定期券料金が使われます。自家用車・自転車での通勤手当額は、企業ごとに設定金額が違います。
 

通勤手当をもらうときの注意点は?

まずは、職場の就業規則で通勤手当についてどのように決められているのかを確認しましょう。通勤手当を支払うことは労働基準法で決められておらず、企業の支給義務ではありません。そのため、企業ごとに就業規則が異なり、通勤手当制度がないところもあります。
 
出張や転勤などでの移動に使った交通機関の費用は通勤手当ではなく「交通費」です。交通費はあらかじめ労働者が費用を立て替えて支払い、後で勤務先に申請して精算する方法が一般的です。交通費は経費として処理されます。
 

まとめ

通勤手当は月15万円以下まで非課税で、超えた金額は給与として所得税などが課税されます。企業によって通勤手当についての規則が異なるので、就業規則や給与明細を確認し、適切な金額が支払われているか計算してみるのもよいでしょう。
 

出典

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 企業の諸手当等の人事処置制度に関する調査

国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて

国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当

国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

国税庁 数か所に勤務する者に支給する通勤費

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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