インボイス制度で「声優が廃業」に!? 制度による変更点を、概要とともに解説
配信日: 2023.08.22
本記事では、インボイス制度によって声優たちのなにが変わるのか、そもそもインボイス制度の目的や概要はどんなものなのかなどについて解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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インボイス制度によってなにが変わるのか
声優はたとえ事務所に所属していても、ほとんどが個人事業主です。そして、多くの個人事業主は免税事業者ですが、インボイス制度が導入された後、課税事業主になって税金の負担を増やすか、免税事業者のままでいて仕事が減る可能性を受け入れるかの選択をしなければなりません。
詳しく見ていきましょう。
インボイス制度の目的と概要
インボイス制度の目的は、国が取引の正確な消費税額と消費税率を把握することです。
「インボイス」とは、事業者間でやり取りされる消費税額などが記載された請求書や領収書のことです。そして、インボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」として登録申請が必要ですが、そのためには課税事業者とならなくてはなりません。
インボイス制度における懸念とは
インボイス制度が始まれば、消費税額を適切に計算できる、不正防止、事業者間で安心して取引ができるといったメリットがあります。
しかし、今まで免税事業者として取引をしていた事業者からすると、取引先からインボイスの発行を求められた場合、課税事業者となる必要があります。課税事業者となれば、今まで免れていた税金を支払いますので、最終的な利益は減ってしまいます。
また、課税事業者になると今までしていなかった煩雑な税務手続きをしなければなりません。税理士に依頼するのにもお金がかかりますし、一から手続きの勉強をするのも骨が折れます。そして、課税事業者とならないままだと、インボイスが発行できず、取引先が今後取引をしてくれない可能性があります。
声優は多くの場合個人事業主です。税金や手続きの負担が増えて事業として成り立たなくなったり、今後仕事の依頼を受けられなくなったりすることが懸念され、冒頭の会見につながっています。
インボイス制度導入後の特例について
いきなり免税事業者から課税事業者になった場合、急な負担増となり事業が立ち行かなくなるかもしれません。そこで、いくつかの特例が設けられています。
例えば、免税事業者から課税事業者になった場合、令和8年9月30日までは売上税額の8割を差し引いて消費税の納税額とすることが可能です(課税売上1000万円以下に限る)。
まとめ
今回はアニメプロデューサーや声優の件を紹介しましたが、インボイス制度の導入については全国各地で反対運動がおこなわれています。
導入の決まったインボイス制度ですが、反対意見もまだ多数見られます。導入前に人々の声をしっかり聞いて検討してほしいところですが、現実的には今後の対応策を考えざるを得ないという事業者も多いでしょう。
当面の間は軽減措置があるとはいえ、将来的に課税事業者になるかどうかも慎重に判断する必要があります。
出典
政府広報オンライン 令和5年10月からインボイス制度が開始!事業者間でやり取りされる「消費税」が記載された請求書等の制度です
国税庁 令和5年4月 インボイス制度に関する改正について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー