更新日: 2023.09.18 その他税金
新居を買ったので来月から遠距離通勤になります。通勤代が高額になると課税されるのでしょうか?
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
通勤手当の課税のルールを知る
日本の企業において、代表的な福利厚生としてあげられるのが通勤手当です。
最近では在宅ワーク等を導入している企業はありますが、オフィスに出社するためには、電車やバスに乗って出社しなければならない人は多いでしょう。そのような場合、必然的に、交通費がかかってしまいます。もし、それらの費用をすべて自分で負担していたら、せっかく得た収入も目減りしてしまいます。そこで多くの企業は福利厚生のひとつとして、通勤手当という名目で交通費を従業員等に支給しているのです。
ここでポイントとなるのが、「手当」という言葉です。
手当は本来の給料以外に受け取るものであり、基本的には課税されるものです。ただし、オフィスに通うための必要経費と考えられるため、一定の限度額までは非課税となっています。
交通費は最大で15万円まで非課税になる
非課税となる限度額は、公共交通機関を利用するのか、マイカーや自転車などで通勤するのかによって違いがあります。
公共交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当のうち、1ヶ月あたり15万円までが非課税です。
マイカーや自転車などで通勤している場合には、移動距離によって支給限度額が異なり、最高で3万1600円となりますが、これは通勤距離が片道55キロメートル以上ある場合に限られます。
もし、マイカーと公共交通機関の組み合わせとなるなら、マイカーの距離や公共交通機関の交通費はいくらになるのかを確認することが大切です。
●通勤距離が片道55キロメートル以上 :3万1600円
●通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満 :2万8000円
●通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満 :2万4400円
●通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満 :1万8700円
●通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満 :1万2900円
●通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満 : 7100円
●通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満 : 4200円
●通勤距離が片道2キロメートル未満 :全額課税
※国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」より
ここでポイントとなるのが、交通費の非課税限度額は1ヶ月15万円が限度となっているということです。公共交通機関とマイカーや自転車などを使って通勤している場合は、注意が必要です。
例えば、通勤定期代金12万円、通勤距離が片道55キロメートル以上で3万1600円だった場合、交通費は合計で15万1600円です。ただし、あくまでも非課税の限度額は15万円ですので、1600円分は課税されることになるのです。
通勤手当は福利厚生、会社のルールを確認する
通勤手当は福利厚生の一環なので、勤めている会社によって通勤手当の限度額が異なります。自分の会社は通勤手当の限度額がいくらになっているのかを確認してください。もし、会社の限度額を超えてしまった場合には、その分の交通費は持ち出しになります。
また、通勤手当を通勤定期券で支給する会社もあります。このような場合、古い通勤定期券と新しい通勤定期券を引き換える方法をとっていることが多く、定期券をなくしてしまったようなときには、すぐに交通費を支給してもらえないこともあります。
まずは自分の会社ではどのようなルールで通勤手当を支給しているのか、確認することが大切です。
出典
国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト