年末調整の書類に「保険料控除証明書」を付け忘れた! 還付金「4000円」は税務署に戻す必要があるの?
配信日: 2023.09.25
ただ、ときには「付け忘れた!」ということもありますよね。保険料控除証明書が添付されていない保険についても生命保険料控除を受けたとなると、それは脱税になるのでしょうか。年末調整で還付された金額のいくらかは、税務署に返金しなければならないのでしょうか。本記事で解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
「保険料控除証明書」とは
保険料控除証明書とは、その年1月1日から12月31日までに支払った保険料を証明する書類のことです。
保険料とは生命保険料や地震保険料、社会保険料などが該当し、年末調整に間に合う時期に加入先から郵送で届きます。届いた保険料控除証明書は、年末調整や確定申告で生命保険料控除などの所得控除を受ける場合に添付書類として提出する必要があります。
年末調整に税務署は関与していない
年末調整とは、会社が従業員のその年の所得税を計算し、源泉所得税との差額を精算する手続きのことです。会社は従業員から提出された年末調整書類をもとに計算を進め、最終的に従業員全員分の源泉所得税を税務署へ納めます。
つまり、年末調整は会社と従業員で進められるものであり、税務署が関係するのは源泉所得税の納付のみです。年末調整自体に税務署は関与していません。「従業員の誰に何の控除があって、それに応じる保険料控除証明書はこれ」などと、税務署に逐一確認されているわけではないのです。
控除証明書の添付忘れがあれば会社から指摘があるはず
ただ、生命保険料控除などを受ける場合には、その保険料に対応する保険料控除証明書を年末調整の書類に添付します。この確認は会社の責任のもとに行われます。
よって、年末調整の書類に生命保険料控除の記載があるにもかかわらず、保険料控除証明書が添付されていない場合には、会社から指摘があるのが一般的です。
指摘がないままだったらどうする
会社が保険料控除証明書の確認をしないまま、書類だけを見て年末調整を終えることもあるかもしれません。
その場合には、保険料控除証明書の付け忘れに気が付いた時点で会社に提出しましょう。年末調整の書類というのはどこかに提出するものではなく、年末調整後も会社で保管するからです。
まとめ
年末調整の書類に生命保険料控除などを記載したにもかかわらず、対応する保険料控除証明書を付け忘れた場合には、速やかに会社に提出しましょう。年末調整が終わるまでに会社から指摘がある場合がほとんどですが、なかった場合でも速やかに提出します。
添付し忘れた保険料控除証明書に対応する生命保険料控除が4万円だった場合、所得税率が10%の人であれば所得税が4000円安くなっています。しかし、保険料控除証明書を添付していなかったからといって、税務署にこの4000円を返金する必要はありませんので安心してください。
ただ、まれではありますが会社に税務調査が入り、年末調整書類の確認が行われて添付書類不足に気が付かれた場合には、4000円の返金を迫られる可能性はゼロではないことも知っておいてください。
出典
国税庁 No.1140 生命保険料控除
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士