【年末調整】「扶養控除等申告書」を出してはいけない人って? ダブルワークの人は要注意な理由を解説

配信日: 2023.10.12

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【年末調整】「扶養控除等申告書」を出してはいけない人って? ダブルワークの人は要注意な理由を解説
年末が近づく頃に、あるいは入社したときに、会社から提出を求められる扶養控除等申告書。何のための書類かご存じですか?「よく知らないけれど、とりあえず毎年出している」という人もいるのではないでしょうか。
 
しかし中には、扶養控除等申告書を出してはいけない人もいるのです。本記事では、扶養控除等申告書の役割や二重に提出したときのリスクなどについて解説します。
橋本典子

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)

特定社会保険労務士・FP1級技能士

扶養控除等申告書は何のため?

扶養控除等申告書は、給与計算や年末調整のために、被扶養者の状況などを会社に申告する書類です。正式名称を「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といいます。
 

扶養控除等申告書の役割

独身のAさんと、配偶者を扶養しているBさん。給料が全く同じでも、最終的な手取り額はBさんのほうが少し多くなります。Bさんには被扶養配偶者がいるため、Aさんと比べて源泉所得税額が安いからです。
 
このように、所得税額は扶養人数などによって変わるため、給与計算や年末調整をする会社は、従業員の扶養状況を把握している必要があります。そして、被扶養者などの現況を会社に知らせる書類が「扶養控除等申告書」なのです。
 

扶養控除等申告書と会社の義務

会社は従業員に給与を支払うときに所得税を源泉徴収し、それを国に納付しなければなりません。源泉徴収税額の算出方法は、その従業員から「扶養控除等申告書」を受け取っているかどうかで決まります。
 
従業員から扶養控除等申告書を受けた会社は、毎月の給与から扶養人数等に応じた所得税を源泉徴収し、暦年の終わりには年末調整により税額を清算・納付する必要があります。
 
「扶養控除等申告書が提出されたら、年末調整までする」のが会社の義務なのです。この年末調整の制度があるため、原則として、会社員は自分で所得税を申告納付する必要がありません。
 

扶養控除等申告書を出してはいけない人は?

会社員にとって大切な扶養控除等申告書ですが、中には出してはいけない人もいます。
 

ダブルワーカーは要注意

働き方の多様化により、2ヶ所以上の会社で働く、いわゆるダブルワーカーが珍しい存在ではなくなりました。こうしたダブルワーカーが1つの会社に扶養控除等申告書を提出したら、他の会社に扶養控除等申告書を出すことはできません。
 

扶養控除等申告書を出せるのは1ヶ所のみ

なぜなら、扶養控除等申告書を提出できる会社は「同時には1ヶ所のみ」だからです。主たる給与を受ける勤め先(メインの勤め先)に提出したら、従たる給与を受ける勤め先(サブの勤め先)には提出できません。その理由は、正しい所得税額が計算できなくなるためです。
 
前述のとおり、扶養控除等申告書を提出すると、会社が年末調整をしてくれます。そして年末調整では、配偶者控除や扶養控除など、税額が安くなる各種の所得控除を受けることになります。そのため、もし2社以上で年末調整をされると所得控除額が重複して引かれてしまうのです。
 
この後、確定申告せず、2社以上の年末調整を受けたままにしておくと、本来よりも低額の所得税を納めたことになり、脱税という結果につながってしまいます。
 
もし扶養控除等申告書を複数の会社に出してしまっていたら、年末調整の前に、従たる給与を受ける会社にその旨を伝え、扶養控除等申告書を取り下げておきましょう。そして、複数の会社に勤務する人は、年末調整を受けた会社の給与と他の会社の給与を合わせ、自分で確定申告をする必要があります。
 

まとめ

扶養控除等申告書を提出すると、会社が年末調整をしてくれます。勤め先が1ヶ所の場合は問題ありませんが、複数の会社で働く人は注意が必要です。
 
もし同時に2ヶ所以上の会社に扶養控除等申告書を提出して年末調整を受け、そのままにしておくと、本来納付すべき税額が納付できず、意図せぬ脱税につながることがあるからです。そうならないために、扶養控除等申告書などの年末調整書類を複数の会社に提出しないようにしましょう。
 

出典

国税庁 [手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは
国税庁 No.2110 事業主がしなければならない源泉徴収
国税庁 No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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