更新日: 2023.10.18 その他税金

小規模事業者はインボイス制度にどう対応すればいい?

小規模事業者はインボイス制度にどう対応すればいい?
消費税の仕入税額控除の方式として、インボイス制度が2023年10月1日から始まります。本記事では、フリーランサーなどが適格請求書発行事業者の登録に当たって考えるべき問題についてご紹介します。
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

インボイス制度とは

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、買い手が売り手から交付を受けた適格請求書(以下インボイス)に基づき仕入税額控除を受けるしくみです。例としては、買い手は出版社(法人)で売り手はフリーランスの翻訳家といったケースがあります。
 
売り手がインボイスを交付するためには、事前にインボイス発行事業者の登録を受ける必要があり、登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要となります(図1)。
 
図1
 
図1
 
※国税庁 インボイス制度が始まります!から引用
 

消費税の課税者区分

消費税の納税は、事業者の売上高に応じて3区分されています。
 

一般(本則)課税  基準期間の売上高が5000万円を超える事業者
簡易課税      基準期間の売上高が5000万円以下の事業者
免税事業者     基準期間の売上高が1000万円以下の事業者

 
免税事業者に消費税の申告義務はありませんが、国税庁は、2023年10月1日以降、免税事業者でも以下2点の対応が必要な場合があると説明しています。
 

●売り手は、請求書を提出する(インボイスを交付する)には、事前にインボイス発行事業者の登録を受ける必要があり、登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要となります。
 
●一般課税の買い手は、仕入税額控除の適用のために、売り手から交付を受けたインボイスを保存する必要がありますが、簡易課税の買い手は仕入税額控除のインボイスは不要です。

 

免税事業者の対応

2023年10月1日以降、免税事業者が選ぶ選択肢は3つあります。
 

1)免税事業者を継続する

事業の相手先(買い手)が一般消費者や免税事業者・簡易課税事業者などで、インボイスを求められることがない場合は、免税事業者を継続することも可能です。ただし、将来も売上高が1000万円を超えないことや買い手に変化(課税事業者になるなど)がないことが前提です。
 

2) 課税事業者(簡易課税)になる

簡易課税事業者は、消費税の申告に際して売上税額のみから計算が可能であり、仕入れに関する請求書(インボイス)や帳簿の保存が不要です。
 
また、簡易課税は事業区分が細分化されており、それによって見なしの仕入れ率が変わります。見なし仕入れ率は40%~90%の幅があり、例えばフリーランサーが多い「運輸通信業、金融・保険業 、サービス業」は50%になります。
 
仮に課税売上が300万円で見なし仕入れ率が50%の場合、消費税額は以下のようになります。
 
300万円の売り上げの場合 (300万円-300万円×50%)×10% 消費税額15万円
 

3)申告時に2割特例の適用を選択する

今回のインボイス制度の適用で、2)のようなフリーランサーは相当額の消費税を納税することが必要になります。このようなケースの税額を軽減するために制度化されたのが「2割特例」です。2割特例では、業種に関わらず売上税額(売上高×10%)の2割を消費税額とすることになっています。
 
300万円の売り上げの場合  300万円×10%×20% 消費税 6万円
 
このように、消費税課税の簡易課税の場合(15万円)よりも、消費税額が少なくなります。
 
2割の特例が適用されるのは、今回(2023年10月以降)課税事業者になった小規模事業者(年間売上高1000万円)で、簡易課税事業者も含まれます。
 
ただし、2割の特例が適用されるのは、個人事業者の場合は2023年10月1日~2026年12月31日までの各課税期間に限られます。
 
なお、買い手(フリーランサーの納品先)にもインボイス制度の経過措置があり、インボイスなしの請求書でも、2023年10月~2026年9月は80%、2026年10月~2029年9月は50%の仕入れ税額控除が認められます。
 

課税事業者(適格請求書発行)の登録はするべきなのか

適格請求書発行事業者の登録をするかどうかは、売上先の状況と事業の将来の見通しなどを見極めて決めることが大事です。
 
相手が課税事業者であっても、申告時に2割特例を選んだときは、インボイスが必要でなくなる場合も考えられます。
 
そのため、法人・個人を問わず10月以降のインボイス(適格請求書)の必要の有無を個別の売上先に確認することが大事でしょう。
 

まとめ

フリーランサーなどの小規模消費税非課税事業者のインボイス制度対応は、2割特例と売上先の意向がポイントです。事業の将来の方向も勘案して、消費税の課税事業者についてどの選択をするかを考えてみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 インボイス制度が始まります!

国税庁 令和4年12月 財務省主税局税制第二課 インボイス説明資料

 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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