更新日: 2023.11.15 控除

妻の1ヶ月のパート代が8万8000円を超えてしまいました。1ヶ月だけなら扶養からは外れませんか?

執筆者 : 飯田道子

妻の1ヶ月のパート代が8万8000円を超えてしまいました。1ヶ月だけなら扶養からは外れませんか?
家計を助けるために、妻がパートで働き収入を得ている家庭は少なくありません。そのとき、多くの人はできるだけたくさん働きたいけれど、扶養を外れない程度の収入にとどめておきたいと思うようです。
 
では、1ヶ月のパート代が8万8000円を超えてしまった場合は、扶養から外れなければならないのでしょうか? 今回はパートの働き方と社会保障の加入について考えてみます。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

月収が一度でも8万8000円を超えたら社会保険に加入しなければならないけれど…

社会保険への加入条件は年々拡大されています。2016年10月から対象となる勤め先の従業員501人以上の企業が対象だったものが、2022年10月からは従業員101人以上の企業が対象となりました。
 
さらには2024年10月からは、従業員51人以上の社会保険の企業が対象となりました。とはいえ、2023年現在、従業員101人の企業に勤めている人が一律に社会保険に加入しなければならないというわけではありません。
 
社会保険の加入の対象となっているのは、下記の4つの項目にすべて当てはまる場合のみであり、この場合は、社会保険に加入します。

~社会保険に加入すべき4つのチェック項目~

(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満
(2) 所定内賃金が月額8万8000円以上
(3) 2ヶ月を超える雇用見込がある
(4) 学生ではない

続いて、(1)~(4)についてそれぞれ詳しく確認していきましょう。
 

(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満

ポイントとしては、あくまでも所定の労働時間であるということです。急に残業を頼まれた、本来は休日であったけれど、休日出勤をしたという場合には、所定労働時間には含まれません。
 

(2) 所定内賃金が月額8万8000円以上

月額8万8000円を超えている場合も、社会保険の加入条件となっています。ただし、あくまでもベースは所定内賃金です。所定労働時間の計算と同じように、基本給や諸手当によって計算されますので、それ以外の収入は社会保険に加入条件の月額としてカウントされません。
 
この場合の臨時賃金としては、次の賃金が当てはまります。


・時間外労働(残業や休日出勤)の割増料金
・結婚手当や出産手当などの一時的な手当

などです。
 

(3) 2ヶ月を超える雇用見込がある

雇用契約期間が2ヶ月以上であるとみなされなければなりません。そのための条件は下記のとおりです。


1. 就業規則や雇用契約書などで、契約更新される旨が明示されていること。
2. すでに勤務先で同様の雇用契約で雇用されている人が、1年以上雇用されていた実績があること。

(4) 学生ではない

学生の場合、社会保険の加入対象にはなりません。ただし、休学中の場合、夜間の学校へ通っている場合は、社会保険の加入対象となります。今回のケースでは勤務先の従業員が101人以上いることとした場合、(2)に該当するかどうかがポイントとなります。
 
1ヶ月のみ月額8万8000円を超えたということは、残業や休日出勤などをしたことで、一時的に8万8000円を超えていることが予想されます。所定内賃金が月額8万8000円未満であれば社会保険に加入する必要はありませんし、扶養から外れません。
 

働き方は自分で管理することが大切

従業員の人数が、一定数いる企業のような場合、会社側で勤務時間を管理してくれることも多いでしょう。
 
とはいえ、急にシフト勤務を頼まれて仕事をしたというような場合、労働者に勤務時間の管理を任せているようなことも少なくありません。
 
そのようなケースで、言われるがまま仕事をしていると、気づいたときには103万円の壁や106万円の壁、130万円の壁などを超えてしまい、税金を支払わなければならないということも考えられます。
 
もちろん、少人数の会社であっても、勤務時間管理は自分でしておくことが大切です。また、2023年10月から最低賃金が引き上げられたことにより、今までと同じように働いていると、「壁」が立ちふさがることも考えられます。
 
収入は、できるだけたくさんあるほうが良いとは思いますが、自分の収入と社会保障や税負担を把握しながら働くことも大切かもしれません。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト「パート・アルバイトのみなさま」
厚生労働省 必ずチェック最低賃金 地域別最低賃金全国一覧
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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