更新日: 2023.11.29 控除

医師から指示されてスポーツジムに通っていますが、医療費控除の対象になりますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

医師から指示されてスポーツジムに通っていますが、医療費控除の対象になりますか?
コロナ禍が明けて、スポーツジムの利用者が再び増えてきています。利用者のなかには、医師の指導により利用している人もいるでしょう。
 
そういった方は、スポーツジムの利用料も医療費控除の対象になることをご存じでしょうか。厚生労働省の定めた基準をクリアしていれば、医療費控除の対象となり、税金の軽減が可能です。
 
本記事では、スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるための3つの条件について、詳しく解説します。自分がスポーツジムを利用する際に、医療費控除の対象となるかどうかを判断するためにも参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

医療費控除とは

医療費控除は所得控除の一種で、本人や扶養家族が支払った年間の医療費が一定額を超える場合、超過分の医療費が課税所得から差し引かれる仕組みです。対象となる費用には、診療費や治療費、入院費、通院にかかる交通費、出産費用などが含まれます。
 
医療費控除の金額については、以下のとおりです。
 

・その年の総所得が200万円以上の場合
1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円
 
・その年の総所得が200万円未満の場合
1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-総所得の5%

 
控除額の上限は、200万円です。医療費控除を利用することで、税金の負担を軽減できます。

 

スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるための条件

スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるためには、厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で定められた3つの条件をすべて満たしている必要があります。自己判断でスポーツジムに通うなど、条件を満たしていない場合は、医療費控除の対象とはなりません。
 
本項では、スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるためには必要な3つの条件について説明します。

 

厚生労働大臣認定健康増進施設である

スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるには、厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で指定された施設を利用する必要があります。対象となる施設は、以下のとおりです。
 

運動型健康増進施設(指定運動療法施設)

トレーニングジムなどのこと。運動型健康増進施設のうち「指定運動療法施設」の指定を受けた施設が医療費控除の対象となります。該当施設は、2023年11月7日時点で346施設です。
 

温泉利用型健康増進施設

温泉利用と運動利用を兼ね備えた施設などのこと。医療費控除の対象となり、該当施設は2023年11月7日時点で18施設です。

 

「運動療法処方せん」と「運動療法実施証明書」が必要

医療費控除は、高血圧、高脂血病、糖尿病、虚血性心疾患などの疾病があり、医師の運動療法処方せんにもとづく運動療法にかかる費用が医療費控除の対象となります。
 
医療費控除を受けるには、まず、医師の「運動療法処方せん」が必要です。スポーツクラブに処方せんを持参して「運動療法実施証明書」を発行してもらい、再度医師に証明書の内容を確認してもらい、確定申告時に提出するという流れです。
 
そのため、医師の運動療法処方せんがなく、自発的な理由でスポーツジムを利用する場合、その料金は医療費控除の対象外となりますので、ご注意ください。

 

週1回以上8週間以上通っている

医療費控除を受けるには、上述の厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で指定された施設で、医師の運動療法処方せんにもとづく運動療法を、週1回以上の頻度で8週間以上継続して実施している必要があります。スポーツジムに通う頻度がこれ以下の場合は、医療費控除の対象とはならない可能性があるため、ご注意ください。

 

医療費控除を受けるには確定申告が必要

医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。確定申告は、前年の所得を申告し、その所得にもとづいて所得税を納める手続きです。
 
確定申告書やマイナンバーカード、本人確認書類、銀行口座番号が分かるものなどを用意し、2月16日~3月15日の期間内に申告と所得税の納付を完了させる必要があります。医療費控除を受ける場合は、できるだけ早めに確定申告の準備を整えましょう。

 

制度を上手に利用して健康増進を!

医師が運動療法処方せんにもとづく運動療法を、厚生労働省が指定した施設で週1回以上の頻度で8週間以上継続した場合、その利用料は医療費控除の対象となります。逆に、これらの条件をすべて満たしていない場合は、スポーツジムの利用料は医療費控除の対象にならないため、注意が必要です。
 
現在、スポーツジムを利用中の方やこれからご利用を考えている方は、条件を満たすか確認してみてください。該当する方はぜひ、上手に制度を利用して節税しながら健康増進しましょう。

 

出典

国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
厚生労働省 健康増進施設認定制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集