宝くじで高額当せんをすると「税金」はかかる?手取りで実際にもらえるのはいくら?
配信日: 2023.12.12
実は、宝くじの当せん金自体には税金はかかりません。ただし、当せん金を誰かに渡した場合は、贈与税や相続税が発生する場合があるため、注意が必要です。
今回は、宝くじで高額当せんした場合に税金がかかるケースや、税金がかかった場合はいくらもらえるのかなどについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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宝くじの当せん金自体は非課税
宝くじの当せん金自体に税金はかかりません。
宝くじには「当せん金付証票法」と呼ばれる法律が適用され、当せん金付証票法第13条によると「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない」とされています。
また住民税は、前年度の所得を基に計算されるため、所得税の対象にならない当せん金は、住民税の金額に影響を与えることもありません。
宝くじの当せん金の贈与や相続には税金がかかる
宝くじの当せん金には税金はかかりませんが、当せん金の使用方法によっては、税金が発生するケースがあります。
例えば、当せん金を人に譲ったり相続したりしたときです。
贈与税は、個人が財産を贈られた場合に発生する税金です。1年間で110万円を超える贈与がある場合に発生します。
例えば、1億円の当せん金を使用して、誰かに5000万円の家をプレゼントすると、贈った5000万円に対して贈与税がかかります。
一方で相続税は、亡くなった方が保有する財産を相続した場合にかかる税金です。
相続税法第2条によると、「その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する」とされています。
当せん金も財産に含まれるため、当せん金も含めて相続した合計金額に対して、税金が発生します。
贈与税と相続税は、どちらも財産を受け取った側が支払う税金です。
善意で相手に当せん金を贈ったら、贈った相手に意図せず税金が発生したという事態も考えられるため、注意しましょう。
当せん金に贈与税や相続税が発生した場合の手取り額
もし当せん金を贈られたり相続したりした場合で、当せん金が7億円、1億5000万円、1000万円の場合だと、手取りはいくらもらえるのでしょうか。
以下の条件で考えてみます。
●全額贈与もしくは相続したとする
●贈与や相続したのは成人済みの子ども一人
●基礎控除以外の控除は考慮しない
●贈与や相続をしたのは当せん金のみとして考える
贈与税は、受け取った額によって控除額や税率が変わります。
今回の例では直系尊属から受け取るため、特例贈与財産用の税率が適用され、控除額と税率は表1の通りになります。
表1
贈与額から110万円を引いた残額 | 200万円 以下 |
400万円 以下 |
600万円 以下 |
1000万円 以下 |
1500万円 以下 |
3000万円 以下 |
4500万円 以下 |
4500万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | なし | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」を基に筆者作成
また、相続税の基礎控除は、3000万円+600万円×法定相続人の数です。今回は相続人が一人のため、基礎控除は3600万円とします。
表2では、相続税の基礎控除を引いたあとの課税対象額に応じた税率や控除額をまとめました。
表2
控除を引いたあとの額 | 1000万円以下 | 3000万円以下 | 5000万円以下 | 1億円以下 | 2億円以下 | 3億円以下 | 6億円以下 | 6億円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | なし | 50万円 | 200万円 | 700万円 | 1700万円 | 2700万円 | 4200万円 | 7200万円 |
※国税庁「相続税の仕組みの分かりやすい解説 相続税のあらまし」を基に筆者作成
これらの条件を基に、それぞれの当せん金に贈与税がかかった場合と、相続税がかかった場合の手取り額は、表3の通りです。
表3
当せん金額 | 7億円 | 1億5000万円 | 1000万円 |
---|---|---|---|
贈与税額 | 3億7799万5000円 | 7549万5000円 | 177万円 |
贈与された場合の手取り額 | 3億2200万5000円 | 7450万5000円 | 823万円 |
相続税額 | 2億9320万円 | 2860万円 | 基礎控除額以下のため非課税 |
相続した場合の手取り額 | 4億680万円 | 1億2140万円 |
※筆者作成
宝くじの当せん金を誰かに渡すと税金が発生する
宝くじで高額当せんをしたことを機に、両親や親戚の家をリフォームしてあげたり、新たに家をプレゼントしたりしたい方もいらっしゃるでしょう。
しかし、すべて財産として扱われるため、贈与税や相続税が発生します。
現金で贈った場合も同様です。当せん金を贈る場合は、税金が発生することを必ず相手に伝えておきましょう。
出典
デジタル庁 e-gov法令検索
当せん金付証票法(昭和二十三年法律第百四十四号)第十三条
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第一章 総則 第一節 通則(相続税の課税財産 の範囲)第二条
国税庁
タックスアンサー(よくある税の質問)
No.4402 贈与税がかかる場合
No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
No.4152 相続税の計算
相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」6相続税の計算(具体例)(4 ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー