医薬品を購入したらなぜか「5400円」も安くなった!「医療費控除」より「セルフメディケーション税制」の方が安かったのはなぜ?
配信日: 2023.12.14
医薬品を購入した際に利用できる控除には「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」があります。それぞれ利用できるようになる金額が異なるため、注意が必要です。
今回は、医療費控除とセルフメディケーション税制の違いや、どちらが得かについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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セルフメディケーション税制と医療費控除の違い
セルフメディケーション税制と医療費控除は、医薬品を購入したときなどに利用できる点では同じですが、制度を利用できる金額や条件などが異なります。
また、2つの制度は併用ができません。
セルフメディケーション税制とは
厚生労働省によると、セルフメディケーション税制とは「特定の医薬品購入額の所得控除制度」とも呼ばれる制度です。
健康の維持や促進、また病気などの予防対策を行っている方が利用でき、スイッチOTC医薬品や市販の医薬品を購入すると、費用に関して所得控除を受けられます。
スイッチOTC医薬品とは、病院などで医師から処方される医療用医薬品を、市販用として転用した薬のことです。
制度を利用するための条件である、健康を維持したり病気の予防対策をしたりする行動とは、健康診断や予防接種を指します。申請時に必要ですので、健康診断や予防接種の領収書、もしくは証明書を保存しておきましょう。
医薬品の購入額が、世帯で1万2000円以上の場合に利用でき、超えた分がそのまま所得から控除されます。
なお、セルフメディケーションのマークが付いている商品が対象となります。
医療費控除とは
医療費控除では、医薬品も含めた医療費全体が対象範囲です。世帯で支払った医療費が10万円を超える場合に、超えた分だけ所得から控除されます。
病院での利用だけではなく、指定の医薬品をドラッグストアで購入した場合も、医療費として計上が可能です。
セルフメディケーション税制と医療費控除はどちらが得か
セルフメディケーション税制と医療費控除で、節税金額の差を計算します。条件は以下の通りです。
・世帯の課税所得500万円
・ドラッグストアなどでの控除対象の医薬品購入額が6万円
・病院での診察代が7万円
課税所得が500万円の場合、所得税率は20%です。住民税は所得にかかわらず、税率は10%です。これらを基に計算すると、節税額などは表1のようになります。
表1
制度 | 控除額 | 節税できた額 |
---|---|---|
セルフメディケーション税制 | 4万8000円 | 所得税:9600円 住民税:4800円 |
医療費控除 | 3万円 | 所得税:6000円 住民税:3000円 |
※筆者作成
セルフメディケーション税制の節税合計額は1万4400円、医療費控除の節税合計額は9000円という結果になりました。セルフメディケーション税制のほうが、5400円多く節税できることになります。
医療費全体で見れば、医療費控除が適用される範囲のほうが大きくても、計算すると、セルフメディケーション税制のほうが税金が安くなるケースは少なくありません。なるべくお得に節税するためには、一度、医療費控除とどちらが得になるのかを計算してみるとよいでしょう。
お得なほうの制度を活用しよう
医薬品の購入額や医療費の金額によって、セルフメディケーション税制と医療費控除のどちらが得になるかは異なります。
より効果的に節税するためにも、いくら節税できるのかを計算しておきましょう。なお、セルフメディケーション税制を利用する場合は、領収書などが必要となりますので、保管などに注意が必要です。
出典
厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
総務省 地方税制度 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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