更新日: 2023.12.18 年末調整
妻が今年パートを退職しました。年末調整で「80万円」の源泉徴収票は提出してよいでしょうか?
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
年末調整に源泉徴収票を提出する理由
年末調整とは、給与所得者の給与などから天引きされた源泉徴収税額とその年の所得税額の差分を精算する手続きのことで、給与所得者が勤めている会社が行います。
年の途中で転職により就職した人については、その年は転職前の会社と転職後の会社から給与が支払われているので、転職後の会社は転職前の会社の源泉徴収票を提出してもらうことで、その給与収入や天引きされた社会保険料、源泉徴収税額などを確認します。そしてこれらの金額を転職後の会社分と合計し、年末調整を行うのです。
ちなみに転職ではなく、2ヶ所の会社で同時に働いている人については、どちらかの会社にもう一方の会社の源泉徴収票を提出して年末調整してもらうことはできません。
これは控除の重複を防ぐためで、給与支払額の多い会社が年末調整を行うのが一般的です。その場合、その他の勤務先の所得については確定申告が必要になるので注意しましょう(ただし、一方の会社から受ける年収が20万円以下の場合を除く)。
妻の源泉徴収票は提出してよい?
まず結論としては、提出の必要はありません。夫婦は社会生活において何かとセットで考えられることが多いですが、税金に関しては別です。夫は夫、妻は妻なので、夫の年末調整で妻の収入を合算することはできません。夫の年末調整で提出する源泉徴収票は、夫のものだけになります。
ただ、会社によっては配偶者控除の正当性を確認する目的などで、妻の源泉徴収票の提出を求められる場合があります。この場合は提出してください。確認後は返却されるでしょう。
妻の源泉徴収票はどうしたらよい?
本記事では妻の源泉徴収票の金額は80万円ということなので、年収103万円以下であるため所得税は発生しません。よって特に何もする必要はありませんが、もし源泉徴収票に源泉所得税額が記載されているのであれば、還付を受けられる可能性があるので確定申告を行うとよいでしょう。
もちろん、「確定申告が面倒なので還付金はいらない」という場合にはしなくても問題はありません。ただし、年収103万円を超える場合には所得税が発生するので確定申告しなければなりません。注意しましょう。
なお、いわゆるパートとして働いている人などが退職した場合で、退職した年に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人については、退職時に会社が年末調整を行うことが原則ではあります(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)。
ただ、再就職しないことが確実でない場合が多く、実務上は年末調整が行われていないまま源泉徴収票が渡されている場合も多くあるそうです。
まとめ
たとえ夫婦であっても税金の計算はそれぞれ行われます。夫の年末調整で妻の収入を合算する目的で源泉徴収票は提出しません。妻の方は源泉徴収票の内容に応じて、確定申告するか否かを判断することになります。
今回の例にある年収80万円であれば確定申告の義務はありません。ただ、源泉所得税の還付を受けられる場合もあるので、わからない時は税務署に確認してみるとよいでしょう。
出典
国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整
国税庁 確定申告が必要な方
国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士