大学生ですが、年末のバイトで年収103万を超えそうです……。「勤労学生控除」を利用すると、非課税枠が130万円まで増えると聞いたのですが本当ですか?
配信日: 2024.01.04
本記事では学生だけが受けられる勤労所得控除と、所得が一定以上の場合に発生するデメリットを解説します。所得のある学生は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
勤労学生控除とは
たとえ学生であっても、アルバイトの収入には所得税がかかる可能性があります。一般的に給与所得者の所得税は、給与収入から各種控除を差し引いた課税所得に対して課税されます。
この控除のひとつに働く学生を対象とした勤労学生控除(27万円)があり、一定金額以下の収入では非課税となります。この控除を受けるためには学生であること以外に所得額の面での条件があります。
対象となる学生
勤労学生所得控除の対象となるのは、以下の学校の学生です。
・学校教育法に規定された小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校など
・国や自治体、私立学校法上の学校法人などにより設置された専修学校(職業に必要な技術を一定以上の時間1年以上修業する学校)
・職業能力開発促進法の規定により、認定職業訓練を行う職業訓練法人(同上)
自分が通う学校が対象になるのか不安がある人は、学校に確認しましょう。
対象となる所得と控除の手続き
勤労学生控除は対象の学生であること以外に、以下の要件を満たす必要があります。
・勤労による所得がある(給与所得など)
・合計所得金額が75万円以下、かつ勤労にもとづく所得以外の所得が10万円以下
給与所得のみの場合、給与所得控除55万円があるため収入が130万円(75万円+55万円)以下であれば、上記の条件を満たすことになります。
課税対象の収入は103万円以上なので、130万円以下であれば最大27万円(130万円-103万円)に対して課税されますが、27万円の控除額で相殺され非課税となります。
毎年12月31日時点で上記の条件を満たす学生が勤労学生となり、控除を受けられます。
・給与所得者:「扶養控除等(異動)申告書」を記載のうえ勤務先に提出、または年末調整
・確定申告する場合:確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出
なお、専修学校、各種学校、職業訓練学校などの生徒の場合は、在学する学校長からの証明書が必要になるので学校に確認しましょう。
勤労学生にも103万円、130万円の壁がある
103万円を超えた場合
年収が130万円以下であっても103万円を超える収入になると、親の扶養家族(税法上)の対象外になり、以下のデメリットが発生します。
・親が特定扶養控除(63万円)を受けられない
・親が勤務先から家族(扶養)手当を受け取っている場合、対象にならない可能性がある
つまり、勤労学生は年収130万円までは非課税だからといって、103万円を超えてしまうと、世帯全体としての所得税が大きく増えてしまう可能性が高くなります。
勤労学生はこの点も考慮して、年収が103万円を超えそうな場合は親に相談しましょう。
130万円を超えた場合
勤労学生であっても年収130万円を超えると、以下のデメリットがあります。
・130万円を超えると勤労学生控除の対象外になり所得税が発生する
・130万円を超えると社会保険料の支払い義務が発生する
控除がなくなると所得税も支払うことになり、さらに今まで支払い義務がなかった社会保険料も支払うことになります。負担が大きく増えるので130万円を超えないよう十分注意しましょう。
勤労学生控除を受けるには年収額に注意しよう
勤労学生控除を受けるには、収入に注意する必要があります。130万円は非課税枠ですが、103万円を超えると発生するデメリットもあります。
103万円の収入を超えても学生自身は130万円まで非課税ですが、親の所得税に影響があり世帯全体の課税額が大きくなる可能性があります。また、夏休みや年末などにアルバイトをすることで、収入が103万円を超えそうな場合は、親に相談することも必要です。
出典
国税庁 No.1175 勤労学生控除
国税庁 所得税のしくみ
国税庁 家族と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー