確定申告後、間違いに気づいた! どうしたらいい?
配信日: 2024.01.25
令和5年分の確定申告は、令和6年2月16日から令和6年3月15日までです。納め過ぎた所得税を返してもらう還付申告をする場合は、令和6年2月16日より前でも申告できます。
ところで、確定申告をした後で、間違いに気づいた場合はどうするのでしょうか。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
まだ確定申告期限なら……
まだ期限内ならば、申告書を再提出します。再提出された申告書で、所得税額が確定します。もしも、還付申告によりすでに税金の還付がされている場合で、再提出すると当初の還付額より少なくなったり、納める金額が発生したりするときは、還付済みの税金との精算が必要になります。
それでは、確定申告の期限後に気づいた場合は、どのような手続きをとったら良いのでしょうか。この場合は、正しい申告により納めるべき税金が増えるか減るかで、手続き方法が異なります。
税金を払い過ぎていた場合……更正の請求
正しい申告で納付済みの税金額より税金が少なくなる場合、「更正の請求」という手続きをして納めすぎた税金を還付してもらいます。「更正の請求書」を所轄の税務署長に提出します。
青色申告制度を利用している個人事業主が、損益通算しても純損失が残る場合、損失額を翌年以降3年間繰り越すことができ、それぞれの年分の所得金額から控除できます(期限内に申告することが必要です)が、誤りを訂正することでさらに純損失額が増える場合も、更正の請求の手続きをとることができます。
もし、所得金額や控除額等の数字に変動があっても、最終的な税額や純損失額に変わりがない場合は更正の請求はできません。
更正の請求ができる期間は、原則として申告期限から5年以内です。例えば、令和5年度分は令和6年3月15日が申告期限ですが、その翌日の令和6年3月16日から5年後の令和10年3月15日が更正の請求の期限となります。ただし、還付申告の場合の法定申告期限は、申告書を提出した日です。
修正申告はできるだけ早く
修正したら納税額が高くなる場合は、修正申告をします。間違いに気づいたらできるだけ早く申告をしましょう。令和4年分以降の修正申告は、「申告書第一表」と「申告書第二表」を所轄の税務署長に提出します。
もし、修正申告をする前に税務調査を受けて、税務署によって更生されてしまったら、その金額だけではすみません。それに加えて過少申告加算税または重加算税(隠蔽〈いんぺい〉または仮装に該当する場合)がかかります。
過少申告加算税額は、修正されて納めることになった税額の10%相当ですが、新たに納める税金が、修正前の申告納税額と50万円とのいずれか多いほうを超えている場合は、超えている部分については15%になります。
税務調査がされる前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。しかし、調査の前であっても、事前通知を受け取ってからの申告は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の過少申告加算税がかかります。
また、令和5年分以降、税務調査で、帳簿の提示・提出を求められてもしなかった場合や、帳簿での売上金額が本来の金額の2分の1未満の場合は正しい納税額の10%、3分の2未満の場合は5%が加算されます。
さらに、本来の期限から納付の日までの延滞税もかかることにご注意ください。修正申告が遅くなる分、延滞税もかかります(令和6年の延滞税は、納期限までの期間および納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については2.4%、納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以降は8.7%)。
修正申告は、修正申告をする日が納期限となることにも注意が必要です。また、税務署による更生・決定の場合は、更正通知書が出された日から1ヶ月後の日が納期限となります。
期限内に正しい申告・納税をすることが最も大切です。申告に必要な書類等、早めに準備しておきましょう。もし、申告後に誤りに気づいた場合でも、早めに修正することで、ペナルティも最小限にできます。
出典
国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
国税庁 【申告が間違っていた場合】
国税庁 No.2070 青色申告制度
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 延滞税の計算方法
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者