更新日: 2024.02.09 確定申告

せっかく医療費控除の手続きをしても戻ってくるお金は「500円」? 確定申告をしてもムダなのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

せっかく医療費控除の手続きをしても戻ってくるお金は「500円」? 確定申告をしてもムダなのでしょうか?
医療費控除は、1年の医療費が10万円(年収が200万円未満の人は全所得の5%)を超えた場合に受けられる所得控除です。控除を受けるには、医療費控除の明細書を作成して確定申告書に添付する必要があります。
 
「手間をかけて確定申告しても少額しか戻ってこないならば、医療費控除の手続きはムダではないか」と思う人もいるでしょう。そこで本記事では、医療費控除の概要から控除を受けるメリット、注意点を紹介します。
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医療費控除とは何か

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間、自分や生計を同じくしている配偶者、子ども、その他親族が支払った医療費が一定額を超えるときに、その医療費の額を基に計算される金額分、所得控除を受けられる制度です。
 
一定額とは、10万円もしくは総所得金額等の5%の金額(その年の総所得金額等が200万円未満の場合)となります。健康保険が適用にならない出産や機能的な問題の改善が目的の歯列矯正なども控除の対象となるので、高額の医療費がかかった年は医療費控除の手続きを行うのがおすすめです。
 
特に、生計を同じくしている家族が多い場合は、家族全員の医療費を合算して10万円を超えやすいため控除を受けるとよいでしょう。
 

所得税の還付額はその人の所得税率によって異なる

医療費控除は所得税の税率に比例するため、税率が低い場合は返還される金額も少なくなるので注意が必要です。例えば、総所得金額が200万円以上でも、課税所得額が195万の場合、所得税の課税額は5%です。医療費が年間11万円かかり、10万円を超えた分の控除を受ける場合、1万円×5%=500円が返還額となります。
 
共働きの場合は、妻と夫のどちらの年収で医療控除を受けてもかまいません。配偶者と自分では、どちらが医療控除を受けるとお得かを計算したうえで確定申告をしましょう。なお、医療費は1年ごとの控除になるので、数年分合算して申告はできません。ただし、5年までさかのぼっての申告は可能です。
 

医療費控除は行うべき?

医療費控除の手続きを行うと、所得税と住民税から控除を受けられます。したがって、所得税や住民税を支払っている人ならば、年収に関係なく医療控除を行ったほうがおすすめです。なお、所得税や住民税は年収が高いほど高額になります。
 
また、医療費には、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師、はり・きゅう師によるリハビリ、マッサージ費用、介護保険の対象となる介護費用、松葉杖などの医療器具の購入費、レンタル料、医師が発行したおむつ使用証明書がある場合のおむつ代なども含まれます。病気や事故はもちろんのこと、生計を同じくしている人が要介護になった場合も、医療控除が受けられる可能性があるので、領収書を取っておくとよいでしょう。
 
ただし、美容整形など医療と関係なく審美を目的とした医療行為は控除の対象外です。歯列矯正は目的によって、控除の対象となるものとならないものがあります。
 

医療費控除は正しく内容を理解して申告しよう

医療費控除は、住宅ローン控除と同様に多くの人が対象となる控除です。また、介護費用も控除の対象となるため、高齢の親が要介護状態となり、介護用品をレンタルしたりヘルパーさんを利用したりした場合も、控除を受けられる可能性があります。
 
また、共働きの場合は家族にかかった医療費を合算し、年収が高い人が控除を受けたほうがお得です。近年の確定申告は申告書の作り方も簡単になったので、医療費がかかった場合は申請してみましょう。
 
なお、税務署では確定申告の申請方法の相談にのってもらえます。確定申告の時期は混み合うので、事前に予約をできる場合はしておくとスムーズです。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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