【配偶者控除】年末調整や確定申告に影響する配偶者の区分を知っておこう!

配信日: 2024.04.24

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【配偶者控除】年末調整や確定申告に影響する配偶者の区分を知っておこう!
年末調整や確定申告の際に、納税者本人と配偶者の合計所得金額などの違いによって、配偶者の区分は「同一生計配偶者」「控除対象配偶者」「源泉控除対象配偶者」という3種類に分かれます。それぞれの違いは、所得税等の計算に影響を及ぼすこととなります。
 
そこで本記事では、配偶者の区分それぞれの種類の違いと、所得税を計算する際の影響について、確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

3つの配偶者の区分の共通要件

3つの配偶者の区分に該当するために共通する要件は、以下の2つとなります。
 
(1)納税者本人と生計を一にする配偶者であること
 
「生計を一にする」とは、日常の生活の資を共にすることと定義されます。つまり、生活費を一つの財布でまかなっていることを意味し、たとえ夫婦が別居していたり、それぞれに収入があったりしても、生活費をお互いが工面しているときは、「生計を一にする配偶者」に該当します。
 
(2)配偶者が「事業専従者」ではないこと
 
配偶者が納税者本人の事業に従事している場合、給与が支給されることがあります。その場合に、納税者本人が青色申告者であればその給与を「青色事業専従者給与」として取り扱い、白色申告者の場合は「事業専従者控除」を行って、給与の一定額を必要経費として取り扱う特例があります。配偶者が事業専従者である場合には、配偶者の区分の共通要件には該当しません。
 
これら共通要件に加え、配偶者と納税者本人の合計所得金額などによって、配偶者の区分は以下の3つに分類されます。
 

同一生計配偶者とは

1つ目の「同一生計配偶者」は、配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に該当します。この場合、納税者本人の合計所得金額に条件はありません。
 
配偶者が同一生計配偶者に該当するとき、その配偶者が障害者である場合には、障害者控除の対象となります。障害者控除は、27万円(特別障害者の場合には40万円)の所得控除となります。
 

控除対象配偶者とは

2つ目の「控除対象配偶者」は、配偶者の合計所得金額が48万円以下で、かつ納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の場合に該当します。つまり、同一生計配偶者のうち、納税者本人の合計所得金額が1000万円以下の配偶者が該当することになります。
 
配偶者が控除対象配偶者に該当するとき、納税者本人が「配偶者控除」を適用することができます。配偶者控除の額は、納税者本人の合計所得金額によって異なります。具体的には、900万円以下で38万円、900万円超950万円以下で26万円、950万円超1000万円以下で13万円(70歳以上の「老人控除対象配偶者」の場合には、それぞれ48万円、32万円、16万円)となります。
 

源泉控除対象配偶者とは

3つ目の「源泉控除対象配偶者」は、配偶者の合計所得金額が95万円以下で、かつ納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合に該当します。配偶者が源泉控除対象配偶者に該当するとき、納税者本人が「配偶者特別控除」として、満額の38万円の控除を適用することができます。
 
配偶者特別控除とは、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下であっても所得控除を受けられる制度です。控除額は、配偶者と納税者本人の合計所得金額によって、1万円から38万円となります。
 
また、納税者本人の給与等において源泉所得税を計算する際に、その配偶者を「扶養親族等の数」にカウントして算出することができます。
 

まとめ

配偶者の区分には男女間の差はないものの、夫婦それぞれの合計所得金額は、配偶者控除など所得控除の適用可否に影響します。また、もちろんですが、配偶者控除などの所得控除は、夫婦の一方でしか適用できません。さらに、民法上の配偶者のみが対象とされ、内縁関係などでは適用されません。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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