更新日: 2024.06.19 その他税金
10年間勤めた会社から退職金「500万円」をもらいます。”退職所得の受給に関する申告”はしないと損しますか?
今回は、退職所得の受給に関する申告の内容や、控除額と所得税額の求め方などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
退職所得の受給に関する申告とは?
退職金の受給者が、勤めていた会社に対して申告書を提出することです。国税庁によると、日本国内に住んでいて退職手当を受け取るならば、受給するまでに手続きをしなければならないとされています。
退職金を受給する前に申告をしておくと、源泉徴収時点で退職所得に応じて計算された所得税額が引かれるため、確定申告は不要です。退職所得は分離課税扱いとなり、源泉徴収された時点ですでに精算されています。
一方、申告を忘れると、退職金から一律20.42%が源泉徴収されるため、確定申告での精算が必要のようです。
退職金の控除額と所得税額の求め方
退職所得控除の金額は、勤務先で働いた年数が20年以下か20年を超えているのかで計算式が変わります。
国税庁「退職金と税」によると、20年以下の方だと「40万円×勤続年数」、20年を超えている方は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」が計算式です。
例えば、勤続年数が15年の場合における控除額は「40万円×15年」で600万円ですが、勤続年数が30年になると「800万+70万円×(30年-20年)」となり、控除額は1500万円の計算になります。
なお、もし計算をした結果、金額が80万円以下になったときは、退職所得控除額は80万円です。
退職所得金額の求め方は「(源泉徴収される前の退職金-退職所得控除額)÷2」です。そして、「課税退職所得金額×退職所得金額に応じた所得税率-控除額」で最終的な所得税額が求められます。
500万円の退職金を受け取ったときの控除額と所得税額
今回は以下の条件で退職所得控除額と所得税額を求めます。
・勤続年数10年
・退職金は退職一時金として一括で受け取っている
・復興特別所得税は考慮しない
まず、勤続年数が20年以下のため、退職所得控除の計算式は「40万円×10年」となり、400万円です。退職所得の「(500万円-400万円)÷2」より、50万円が課税対象となります。課税所得が50万円のときの所得税率は5%で控除額は0円のため、所得税は2万5000円です。
なお、今回と同条件で申告をしなかった場合では、源泉徴収として「500万円×20.42%」の102万1000円が退職金の500万円から引かれます。先に申告をした場合と比べ、引かれる金額は99万6000円の差です。
約100万円多く引かれてしまうため、もし申告を忘れてしまった場合は確定申告をして精算しましょう。
申告をしていても確定申告で退職所得の記載が必要なケースもある
退職所得の受給に関する申告が済んでいれば、確定申告は基本的に不要です。
ただし、医療費控除や寄付金控除といったほかの理由で確定申告をする場合は、退職所得も忘れずに記載しましょう。退職金を受け取るときに退職所得の源泉徴収票も渡されているはずなので、金額を間違えないように注意が必要です。
退職所得の申告をしたほうが源泉徴収で引かれる金額は低くなる
退職所得の受給に関する申告は、退職金を受け取る方は基本的にしなければならないとされている手続きです。申告をしておくと、退職所得は分離課税による源泉徴収がされます。分離課税による源泉徴収だと、受け取る段階で精算されており確定申告が不要です。
さらに、申告を忘れると退職金のうち20.42%が源泉徴収で引かれるため、申告をした場合と比べると最初に受け取る時点で金額に大きな差が出ます。
もし申告を忘れてしまったときは、確定申告をすると精算可能です。また、医療費控除や寄付金控除を利用する場合は、申告をしていても確定申告で退職所得の記載が必要なので、注意しましょう。
出典
国税庁
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
退職金と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー