初めて副業の確定申告をします。「青色申告」と「白色申告」のどちらを選べばよいのでしょうか?
配信日: 2024.12.03
会社に雇用されている場合は、会社側が年末調整により所得税の過不足などを調整してくれますが、副業の分は個人で確定申告をしなければなりません。
「青色申告」や「白色申告」などの言葉は耳にしたことがあるものの、具体的にどう違うのか、自分はどちらで確定申告をすればよいのか、分からない人もいるのではないでしょうか?
今回は、副業で確定申告をする場合にどちらを選ぶべきか、2種類の違いやメリットについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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確定申告の「青色申告」と「白色申告」の違い
確定申告に「青色申告」と「白色申告」があることは知っていても、その違いが分からなければ、どちらを選べばよいのか判断できません。まずは、それぞれの違いを3つの観点から比較しましょう。
税制上の優遇措置
事業所得もしくは不動産所得、山林所得があり、確定申告期限までに申告した青色申告者は「青色申告特別控除」を受けることができます。控除額は、通常の確定申告をした場合で55万円、電子帳簿保存もしくはe-Taxによる電子申告を行った場合は最高65万円です。
なお、上記以外の青色申告者については、最高10万円が控除されます。
通常、所得が2400万円以下の場合は、青色・白色ともに最大48万円の基礎控除を受けられます。青色申告の場合は、基礎控除に加え「青色申告特別控除」が受けられ、課税所得額が減るため、税金の負担が減る点がメリットです。
ただし赤字の場合、青色申告にしても控除できる収入がありません。このような場合は、白色申告の選択も考えられます。
ただし青色申告の場合は、赤字でも繰越や繰り戻しができるため、しっかりと検討しましょう。
事前の申請手続きの有無
白色申告をする場合、とくに事前に行うべき手続きはありません。しかし、新たに青色申告を行う場合、申告をする年の3月15日までに、所轄の税務署長宛てに「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
なお、場合によっては、申請書の提出期限が異なることがあります。例えば1月16日以後に開業した場合は、業務開始日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。
相続により事業を承継した場合の青色申告承認申請書は、相続開始日によって提出期限が3パターンあります。
提出期限を過ぎてしまうと、その年は青色申告ができなくなってしまうため注意しましょう。
記帳方法や提出書類
確定申告の際の記帳方法や提出書類も、青色と白色では異なります。
青色申告で、65万円・55万円の青色申告特別控除を受ける場合は、複式簿記で記帳します。「複式簿記」とは、貸方と借方それぞれに勘定科目をつけて記帳する方法で、一定の知識が必要です。
一方、白色申告や、青色申告でも65万円・55万円の「青色申告特別控除」を受けない「10万円控除」の場合は、単式簿記で問題ありません。
なお、確定申告の際の提出書類も異なります。青色申告・白色申告ともに、確定申告書・各種控除に関する証明書・補足書類を提出しますが、青色申告ではさらに「青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表を含む)」、白色申告は「収支内訳書」の提出が必要です。
会計知識がなく複式簿記が分からない場合は、税務署の窓口や税理士会が行う無料相談会で相談する、会計ソフトを活用する、などの方法を検討しましょう。
青色申告のメリット
青色申告には「青色申告特別控除」以外にも、以下のようなメリットがあります。
●赤字を3年間繰り越し、前年1年繰り戻しができる
●条件を満たせば家族に支払った給与を必要経費にできる(青色事業専従者給与)
赤字は発生しないことが理想ですが、万一の際には繰り越し・繰り戻しすることで、支払う税金をおさえられたり、前年の税金が還付されたりする可能性があります。
また、家族に支払った給与を経費にすることで、節税につながります。
青色申告の方が手間はかかるがメリットも多い。節税したい人は青色申告を選ぼう
青色申告は、提出書類の多さや煩雑さはあるものの、白色申告よりも大幅に節税できる点がメリットです。一方、白色申告は、提出書類が青色申告に比べて少なく、比較的楽に確定申告ができるほかに大きなメリットはありません。
青色申告と白色申告のどちらにするかは、売上額や手続きの手間などを総合的に考慮して選ぶ必要があります。1年間努力して得た、大切な収入です。支払う税金を最小限におさえるためにも、正しく確定申告を行いましょう。
出典
国税庁 No.2070 青色申告制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー