12月の「ボーナス」を受け取って退職予定です。会社に「年末調整」の書類提出を求められているのですが、支給日まで退職すると言えません。どうすれば良いでしょうか?
配信日: 2024.12.05
本記事では、年末まで会社に在籍する予定のない人が、年末調整にどう対応したらよいかを解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
年末調整って何?
年末調整とは、会社が各従業員の給与および賞与から概算で天引きしている源泉所得税を、本年中の給与収入が確定する12月の時期に精算する手続きのことです。
源泉所得税は給与と扶養人数に応じた概算によって計算されていますが、実際の所得税の計算には生命保険料控除などの各種控除もあり、その金額は各従業員によって異なるため、従業員ごとの対応が必要になります。
年末調整において、会社は各種控除の情報を記載した年末調整書類を従業員に提出してもらい、それをもとに1年間の正しい所得税を計算し直します。その金額に対して、すでに納めた概算の所得税が多ければ還付となり、少なければ徴収されます。
還付または徴収の対応は、基本的にはその年の最後の給与または賞与に加算、または減算される形で行われます。
冬のボーナス後に退職する場合はどうしたらいい?
では冬のボーナスを受け取ったあと、年内に退職する場合、年末調整はどうしたらよいのでしょうか。結論としては、とりあえず提出しておきましょう。あとの判断は会社が行うからです。
会社が行う年末調整は、基本的に年の途中で退職した人は対象ではありません。ただ、以下に該当する人は例外となり、会社は年末調整を行います。
●死亡により退職した人
●著しい心身障害のために退職した人で、その退職の時期から本年中に再就職が不可能と認められ、かつ、退職後本年中に給与の支払いを受けないこととなっている人
●12月に支給期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した人
●いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103 万円以下である人
会社員として働く人が転職する場合は、心身障害または12月に支給される最後の給与を受け取るか否かが関係してくるでしょう。
ただ、12月中に退職する場合でもあっても、12月10日や15日などに支払われる年内最後の給与は、11月の労働分であり、受け取るケースがほとんどであると考えられるため、「12月に支給される最後の給与を受け取る」ということになり、退職であっても年末調整が行われます。
一方、会社の中には、12月の労働分の給与が12月31日に支払われるというケースもあります。例えば、12月1日支給のボーナスを受け取った後、即欠勤し、退職した場合などでは、「12月に支給される最後の給与を受け取れない」ことも起こるでしょう。この場合は年末調整が行われません。
しかし、従業員本人がここまで気にする必要はないでしょう。退職の意向を伝えていない状況であれば、とりあえず年末調整書類は会社に提出しましょう。その後、退職の旨を伝えれば、年末調整についてどう対応するか、会社が判断し、連絡が来るはずです。
年末調整してもらえなかったらどうしたらいいの!?
会社に年末調整してもらえないということは、その年の所得税の精算ができないということになります。ただ、それは確定申告で解決できるので安心してください。年末調整は確定申告の簡易版です。
退職すると会社から源泉徴収票を受け取れるので、それを元に翌年確定申告を行います。「確定申告」と聞くと身構える人もいるかもしれませんが、今はスマホで行う環境も整っており、手軽な手続きになっています。国税庁の確定申告等作成コーナーのホームページに入ると、流れに沿って入力できるようになっているので利用しましょう。
まとめ
12月の冬のボーナスを受け取ってから、退職する旨を伝える場合、年末調整書類はとりあえず会社に提出しましょう。年末調整を行うか否かは会社が判断してくれます。そして、退職を伝える時期や給与支給日によっては年末調整が行われないまま退職することになりますが、その場合でも確定申告で対応できるので安心してください。
出典
国税庁 令和6年分年末調整Q&A
国税庁 給与所得者の確定申告
国税庁 国税庁確定申告書等作成コーナー
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士