「年末調整で9万円返ってきた」という同僚。同じ年収の私は「8000円」ほどしか返ってこなかったけど、なにか“裏ワザ”があるの?「年収400万円」のケースで解説

配信日: 2024.12.22

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「年末調整で9万円返ってきた」という同僚。同じ年収の私は「8000円」ほどしか返ってこなかったけど、なにか“裏ワザ”があるの?「年収400万円」のケースで解説
2024年もあっという間に年末調整の時期となりましたね。会社で年末調整に関するお知らせが回っている人も多いのではないでしょうか。
 
会社員にとって年末調整は「プチボーナス」のような感覚を持っている人もいるかもしれません。何かと物入りな年末、給与がいつもより数万円多いのは助かりますよね。ただ、同じ年収の同僚よりも自分の還付金が少ないことを知ったら、どう思うでしょうか。
 
本記事では、自分と同じ年収である同僚の還付金が、自分より数万円も多いケースを取り上げます。なぜここまで還付金が変わるのかについて解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

そもそも年末調整とは

年末調整とは、1月から12月までに支払われた給与やボーナスに対する所得税を精算するための手続きです。
 
「え!? 所得税はすでに毎月天引きされているけど」と思われたでしょうか。その天引きされている所得税は、あくまでも概算なのです。
 
その年の最後の給与または賞与が決まって年収が確定した段階で、従業員それぞれの扶養や控除に応じて正式な所得税を会社が算出し、概算額が多ければ還付、少なければ徴収となるのです。
 
よって、年末調整は会社からの「プチボーナス」ではなく、単に支払いすぎた自分のお金が返ってきているのですね。
 

年収400万円の還付額は約8000円程度

年収400万円で社会保険料控除後の月収28万円(ボーナスなし)、扶養している家族がいない場合、月々の源泉徴収税額は7610円で年間にすると9万1320円です。
 
次に、年末調整での正式な所得税を計算してみましょう。所得控除は社会保険料控除60万円のみとした場合、(年収400万円-給与所得控除124万円-社会保険料控除60万円-基礎控除48万円)×所得税率5%=8万4000円となり、年末調整の還付額はおおよそ約8000円になります。
 
月々の給与から天引きされている所得税は概算といえども、年末調整の精算で大差が出ないように設定されているのです。
 

同僚は「住宅ローン控除」があるのかも

ではなぜ年収400万円の同僚は、還付金が約9万円もあったのでしょうか。それは、所得税が0円程度になるほどの多額の控除があったと考えられます。最も考えられる控除としては、「住宅ローン控除」が挙げられるでしょう。
 
住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用して住宅を購入した人は、住宅ローンの年末残高の0.7~1%の税額控除を受けられる制度です。例えば、住宅ローンの年末残高が3000万円とすると、所得税が21万円~30万円減額されます。
 
年収400万円に対する所得税の天引き額は約9万円ほどなので、年末調整で住宅ローン控除を受けることによって所得税は0円となり、約9万円は還付されます。
 

そのほかに考えられる控除

住宅ローン控除のほかに考えられる控除としては、社会保険料控除が挙げられます。国民年金保険料や国民健康保険料などは、支払った金額全てが所得控除の対象になります。
 
学生時代に支払いを延期していた国民年金保険料を一括で支払った場合や、家族分の保険料を負担した場合などには、社会保険料控除が大きくなるため、比例して還付金も多くなるでしょう。
 

まとめ

同じ年収400万円の同僚の年末調整還付金が約9万円なのは、裏ワザがあるわけではなく、住宅ローン控除などがある可能性が高いです。年末調整がまだ済んでいないという人は、申告できる控除が漏れていないか、確認してみましょう。
 

出典

国税庁 年末調整がよくわかるページ(令和6年分)
国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)
国税庁 所得税のしくみ
国税庁 No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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