後期高齢者医療制度を利用しているのですが、保険料は確定申告の「所得控除」の対象になるのでしょうか? 控除を受ける方法について教えてください

配信日: 2025.01.18

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後期高齢者医療制度を利用しているのですが、保険料は確定申告の「所得控除」の対象になるのでしょうか? 控除を受ける方法について教えてください
支払った後期高齢者医療制度の保険料は、翌年に行う確定申告で全額所得控除の対象になります。控除を忘れてしまうと、所得税を必要以上に多く納付してしまうことになりかねません。
 
本記事では、後期高齢者医療制度の保険料と所得控除の関係性、そして控除を受ける方法について解説していきます。
石井麻理子

執筆者:石井麻理子(いしい まりこ)

FP2級・AFP

後期高齢者医療制度の保険料と所得控除の関係性

後期高齢者医療制度や保険料を支払ったときの所得控除はどのような仕組みになっているのでしょうか。
 

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度は、公的医療保険制度の1つです。75歳になると、健康保険や国民健康保険、共済保険など、それまで加入していた公的医療保険の種別にかかわらず、自動的に後期高齢者医療制度の被保険者になります。また、65歳から74歳で一定の障害がある人は、申請をすると後期高齢者医療制度へ加入することができます。
 
後期高齢者医療制度の自己負担割合は原則1割ですが、所得金額によって2割または3割負担になります。
 

後期高齢者医療制度の保険料は所得控除になる

支払った後期高齢者医療制度の保険料は「社会保険料控除」になります。社会保険料とは、国民健康保険料、健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料などのことを指します。その社会保険料の中に後期高齢者医療制度の保険料も含まれます。社会保険料を支払うと、支払った保険料がその年の所得から社会保険料控除として差し引かれます。
 
例えば、その年の所得が200万円で後期高齢者医療保険料を20万円支払ったとすると、次のようになります。
 
200万円−20万円=180万円
 
後期高齢者医療保険料(社会保険料)を支払うと所得は200万円から180万円に下がり、納税する所得税額が低くなります。
 

保険料納付方法によって誰の控除になるかが変わる

社会保険料控除の対象となる後期高齢者医療制度の保険料ですが、保険料納付方法によって誰の所得控除になるのかが変わります。
 
■保険料納付方法による所得控除対象の違い
 
【1.老齢年金から保険料が差し引かれる(特別徴収)】
 
老齢年金を受給している人が所得控除を使うことができる
 
【2.口座振替(普通徴収)】
 
口座名義人が所得控除を使うことができる
 
【3.納付書で納付(普通徴収)】
 
自身または自身と生計を一にする配偶者そのほかの親族が所得控除を使うことができる
 
国税庁では、社会保険料控除は「納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができる。」としています。
 

どうすれば所得控除を受けられる?

後期高齢者医療制度の保険料を支払い、所得控除を受けるためには、原則、確定申告を行う必要があります。
 
ただし、公的年金の収入金額の合計額が年400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得が年20万円以下など、一定の条件に当てはまる場合は確定申告が不要となります。
 
確定申告を行う場合は、各種所得控除の「社会保険料控除」欄にその年に実際支払った保険料を記載します。
 
注意点として、未納分は控除に含めることはできません。例えば、12月分の保険料が未納で翌月1月に支払った場合は、その年の控除額に含めず翌年の控除額に含めます。
 
また、配偶者の国民健康保険料や介護保険料など、後期高齢者医療制度の保険料以外に社会保険料控除の対象となる支払いがあれば、あわせて所得控除を受けられます。
 

まとめ

その年に支払った後期高齢者医療制度の保険料は全額、社会保険料控除の対象となります。所得の金額などによっては確定申告をすることで所得控除を受けられますので、忘れずに申告しましょう。
 

出典

国税庁 No.1130 社会保険料控除
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
 
執筆者:石井麻理子
FP2級・AFP

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