時給が上がって夫の「扶養」から外れそうです!「103万円の壁」や「130万円の壁」があると聞きましたが、「年収の壁」を超えてあといくら稼げば得ですか?

配信日: 2025.01.16

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時給が上がって夫の「扶養」から外れそうです!「103万円の壁」や「130万円の壁」があると聞きましたが、「年収の壁」を超えてあといくら稼げば得ですか?
「年収の壁」がニュースで報道される機会が増えました。103万円の壁や130万円の壁など、実際に年収の壁を意識して働かれている方もいるのではないでしょうか。
 
特に、家族の扶養に入って働いている方にとって、年収の壁は重要なポイントです。当記事では扶養の基本的な考え方やさまざまな年収の壁の概要、扶養から外れて得をする年収などについて解説します。
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社会保険と税制上の扶養がある

そもそも、扶養とは自身の稼ぎだけで生計を立てられない家族や親族に、経済的な援助を行うことです。扶養する方を扶養者、扶養される方を扶養家族や扶養親族、被扶養者などと呼びます。
 
「社会保険」と「税制上」の2つの扶養に大きく分類でき、それぞれの負担額を軽減する措置が設けられている点が大きなポイントです。
 
ただし、社会保険や税制における軽減措置を受けるには一定の条件が定められており、主に収入の大きさによって左右されるので、いわゆる「年収の壁」という考え方が生じます。
 

それぞれの年収の壁に注意が必要

年収の壁とは税金や社会保険料の負担が発生して、手取り額が減少する可能性があるボーダーラインの年収額のことです。年収の壁には複数の種類があるため、以下の表1に一覧でまとめてみました。
 
表1

年収の壁の種類 概要
100万円 住民税の支払いが発生する年収
103万円 ・所得税の支払いが発生する年収
・配偶者控除が適用できなくなる年収
106万円 勤め先の企業規模によって、健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生する年収
130万円 106万円の壁に該当する勤め先以外に勤めている場合に、国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生する年収
150万円 配偶者特別控除が減少する年収
201万円 配偶者特別控除が適用できなくなる年収

出典:厚生労働省「年収の壁について知ろう」を基に筆者作成
 
年収の壁を超えると税金と社会保険料を払わなければならず、収入によっては手取り額が減ってしまう恐れがあります。自分にとって最適な働き方を決めるためにも、それぞれの「年収の壁」の影響を理解しておきましょう。
 

扶養から外れていくら稼げば得になる?

それでは、扶養から外れていくら稼げば得になるのでしょうか。扶養に関連する年収の壁で特に影響が大きいのは社会保険料の支払いです。
 
そのため、ここでは130万円の壁を境として、いくら以上の収入があると手取り額で損をしないのか計算してみました。また、計算の条件は以下の通りです。


・社会保険料は給与収入の15%
・所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ
・住民税は所得割10%と均等割5000円

 
表2

給与収入額 手取り額
129万円 124万1000円
130万円 108万3800円
153万円 125万円

※筆者作成
 
130万円を超えると社会保険料の徴収で手取り額が大きく下がるため、129万円の時の手取り額を超えるには153万円以上の収入が必要だと分かりました。なお、各種控除などによって実際の手取り額とは差異がある可能性があるので、表2の結果は一例として参考にしてください。
 

政府による年収の壁対策もスタート

政府による年収の壁対策も2023年10月からスタートしています。首相官邸が公表している具体的な取り組み内容を以下の表3にまとめました。
 
表3

政府の対応内容
106万円の壁 パート・アルバイトで働く方の厚生年金保険や健康保険の加入に合わせて、手取り収入を減らさないための取組を実施する企業に対し、労働者一人当たり最大50万円の支援をする。
130万円の壁 パート・アルバイトの方が、繁忙期に労働時間を延長したことなどにより、収入が一時的に上がっても、事業者(会社など)が「一時的に収入が上がった」ことを証明すれば、引き続き配偶者の不要に入ることが可能となる仕組みを作る。

出典:首相官邸「年収の壁、突破へ」を基に筆者作成
 
さらに、政府では103万円の壁の引き上げや、106万円の壁を撤廃するための議論もなされています。年収の壁の考え方が大きく変わる可能性があるため、今後の政府の動向もチェックしておきましょう。
 

まとめ

日本には社会保険と税金のルールに関連して、複数の年収の壁が存在します。収入によっては手取り額が減少してしまうので、年収の壁を理解して働くことが大切です。
 
また、年収の壁の問題を解決しようと、政府の動きも活発になっています。最新のニュースにも注目しながら、自分にとって最適な働き方を選びましょう。
 

出典

厚生労働省『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
首相官邸 年収の壁、突破へ 年収の壁を越えて希望通り働けるようになります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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