12月からシングルマザーになりました。「ひとり親控除」を受けたいのですが、初めてのことでどのような制度が分かりません。どのような制度で、どのような手続きが必要ですか?
配信日: 2025.01.21
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
ひとり親控除の対象になる「ひとり親」とは?
「ひとり親」とは、どのような人なのでしょうか?
結婚していない方はもちろん対象となり、また相手の生死がはっきりしない方も対象になります。しかし、いわゆる事実婚で相手のいる方は対象外です。なお、ひとり親の合計所得金額は500万円以下でなくてはなりません。
ひとり親というくらいですので、子どもがいる方が対象です。では、どのような子どもが対象になるのでしょうか?
まず、一緒に暮らしているか、親が仕送りなどで暮らしを支えている子どもです。また、子どもの合計所得金額が48万円以下でなくてはなりません。なお、子どもが他の人の扶養親族の対象になっているときは対象外です。
以上の条件は、その年の12月31日現在の状況で判断します。
ひとり親控除の額はいくら?
ひとり親控除の控除額は35万円です。年末調整か確定申告のいずれかで申告します。
ひとり親控除と配偶者控除、両方の対象になる?
ひとり親として生活を支えていて、子どもがいる方が対象になるのが「ひとり親控除」です。当然のことながら、配偶者がいない方が対象です。しかし、「ひとり親控除」と「配偶者控除」の両方の控除が同時に対象になる場合があります。それはどんなときでしょうか?
ある年の途中に配偶者が亡くなったとします。この場合は配偶者が亡くなった時点で配偶者控除の対象になるか否かを判断します。つまり、配偶者が死亡した時点で、生計を一にしているなどの控除対象配偶者としての要件が満たされていれば配偶者控除が受けられます。
そして「ひとり親控除」の対象になるか否かは、前述のとおりその年の12月31日現在で判断します。年の途中で控除対象配偶者が死亡した場合でも「ひとり親控除」と「配偶者控除」の両方の対象になるケースがありますのでご留意ください。
まとめに代えて
ひとり親に該当し、また対象となる子どもがおり、合計所得金額が500万円以下の方であれば「ひとり親控除」の対象です。お勤めの方、つまり給与所得者のみの方の場合、年収677万円以下の方が対象になると考えられます。
試算すると、以下のとおりです。
年収677万円―(給与所得控除額677万円×10%+110万円=177万7000円)=合計所得金額499万3000円
年収678万円―(給与所得控除額678万円×10%+110万=177万8000円)=合計所得金額500万2000円
年収が677万円の場合は合計所得金額が500万円を下回っていますが、年収が678万円の場合は合計所得金額が500万円を超えてしまいます。なお、いずれも給与所得以外に所得がないという前提です。
もし、ひとり親控除に該当する方で「年末調整の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入していなかったという方は、確定申告の手続きを行えばひとり親控除の手続きができます。
出典
国税庁 No.1171 ひとり親控除
国税庁 配偶者控除とひとり親控除の双方適用
国税庁 令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役