夫がFXで「損失」を出したそうです。「確定申告」をしたら損失分で、ほかの税金が安くなったりしますか?
配信日: 2025.01.24
このように少ない資金で多額の取引ができることは「レバレッジ(てこ)取引」といわれています。このレバレッジ取引を利用することで、少ない資金で多くの利益を得ることもできる一方で、大きな損失を被ることもあります。
本記事では、このFXで損失を出したときに、その状況を利用して、どのようにしたら、税金が安くなるかを解説します。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
損益通算を活用する
FXで損失を出した場合には、確定申告をすることによって損益通算ができます。損益通算とは、複数の所得に利益と損失があった場合に、それらを合算して相殺することです。
ただし、図表1に示すとおり、FXの所得と損益通算ができる取引は、商品先物や日経平均先物など「先物取引に係る雑所得等」の所得が対象です。株式や仮想通貨取引などは、損益通算の対象外となります。
したがって、FXで損失を出した場合で、他の証券会社などで商品先物や日経225オプションで利益が出た場合には、その利益と相殺し、その分税金を安くできます。
損益の繰越控除を活用する
FXで損失を出して、損益通算を行っても、その年の損失を控除しきれない場合には、損失の繰越控除ができます。具体的には、損失を出した翌年以降3年間のわたり、「先物取引に係る雑所得等」の利益と相殺できます。繰越控除の例を、図表2に示しましたのでご覧ください。
なお、通常、雑所得の場合には、他の所得金額との合算後に税額を算出する総合課税ですが、FXの場合には、「先物取引に係る雑所得等」と他の所得と区分され、申告分離課税となります。したがって、個別の所得として税額を算出する必要があります。
まとめ
FXで損失を出した場合には、商品先物や日経平均先物など「先物取引に係る雑所得等」の所得と損益通算ができます。また、損益通算をしても、その年の損失額をカバーできない場合には、翌年以降3年間にわたり、繰越控除で税金を安くすることも可能です。
なお、FXの所得は、申告分離課税となるため、「先物取引に係る雑所得等」として確定申告を行い、個別に税額を算出する必要がありますので留意しましょう。
出典
国税庁 No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
国税庁 No.2250 損益通算
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー