30代夫婦で子どもが1人、近々離婚する予定です。「住民税非課税世帯」は教育費の支援を受けられると聞いたのですが、住民税非課税世帯とは何ですか? どのような教育費支援を受けられますか?
配信日: 2025.01.25
住民税非課税世帯とは何か、どのような教育費支援を受けられるか解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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住民税非課税世帯とは
個人の住民税は、前年の所得に対して1月1日現在の住所地で課税されます。個人の住民税は、均等割と所得割の2種類で成り立っています。
均等割は、広く市民が一律に負担する税金です。標準税額は都道府県民税と市区町村民税合わせて4000円ですが、令和6年度から森林環境税(国税:年額1000円)が均等割と併せて課税されるため、均等割との合計は5000円です。
所得割は、前年1年間(1月~12月)の所得をもとに計算される税金です。たとえば、年間給与収入が103万円で、所得控除が基礎控除のみである場合、所得割は5000円(*)です。
(*) 年間給与収入103万円−給与所得控除55万円−住民税の基礎控除43万円=課税所得5万円×10%=5000円
住民税非課税世帯とは、均等割、所得割いずれの住民税も非課税の人しかいない世帯をいいます。東京都の場合、均等割、所得割がともに非課税になる世帯は次項のとおりです。
均等割と所得割のいずれも課税されない方
以下の要件に該当される人は、均等割・所得割とも非課税です。
● 1月1日現在、生活保護法の規定による生活扶助を受けている方
● 1月1日現在、障がい者、未成年、寡婦またはひとり親で、かつ前年中の合計所得金額が135
万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
● 前年中の合計所得金額が次の金額にあてはまる方
・ 同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
・ 同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
45万円以下
※扶養親族は、所得控除の対象外の年齢16歳未満の者も含みます。
※23区以外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村にお問い合わせください。
住民税非課税世帯への教育費支援
ひとり親の場合(給与所得者の場合)は、年収204万4000円未満の方が住民税非課税世帯です。成長段階別の教育支援の概要を見てみましょう。
● 幼稚園、保育所、認定こども園等
3歳から5歳までのすべての子どもたちの利用料が無料です。住民税非課税世帯は0歳から2歳までの子どもたちについても利用料が無料です。
● 小・中学校
就学援助制度により、学用品費(ノート、鉛筆など)・給食費・医療費等必要な援助が受けられます。
● 高等学校
高等学校等就学支援金(国の授業料支援)、高校生等奨学給付金(教科書費・教材費など、授業料以外の教育費支援)や、都道府県独自の授業料軽減の支援を受けられます。
● 大学・専門学校等
高等教育の修学支援新制度(入学金・授業料の減免および給付型奨学金)を利用できます。ただし、家計基準のほかに学力基準も満たすことが必要です。
詳細は、各制度のホームページでご確認ください。
出典
文部科学省 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー