炭素税の導入が延期。そもそも炭素税ってなに?生活にどんな影響があるの?

配信日: 2020.07.08

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炭素税の導入が延期。そもそも炭素税ってなに?生活にどんな影響があるの?
先日、“炭素税の2021年度導入を断念する”とのニュースが報じられました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今、国民の負担増につながる増税を行うべきではない、と判断したようです。
 
さて、そもそも“炭素税“をご存じでしょうか? 誰に、どの様な影響があるのか? いったん導入延期となった炭素税について、今のうちに、どのようなものなのか知っておきましょう。
長崎元

執筆者:長崎元(ながさき はじめ)

行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。

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そもそも炭素税って何? どこから出てきたの?

炭素税は、環境税の一種です。では、環境税とは何なのでしょう? 実は、環境税と呼ばれるものには明確な基準が存在しません。おおむね、環境負荷の低減や、環境保全に関する税とされています。
 
日本では平成24年に「地球温暖化対策のための税」が施行されました。これは二酸化炭素の排出抑制対策であり、環境税に位置付けられています。炭素税もこの「地球温暖化対策のための税」と同じように、環境の保護に関する税となっています。
 
炭素税の内容は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に税金をかけることで、それらを使用した製品の製造価格、使用価格を引き上げ、需要を抑制するというものです。石油などの価格が上昇することで買いにくくなる。結果、使用量が減って、二酸化炭素の削減につながる、という考えです。
 
なぜ二酸化炭素の削減が必要かというと、地球温暖化が問題視されているためです。現在のペースで地球温暖化が進むと、2100年には最大で5.8度、地球の温度が上昇するといわれています。
 
この地球温暖化の原因の1つとされているのが、二酸化炭素であり、それを排出するものが、石油や石炭などの化石燃料であるため、これら化石燃料の使用量を減らすことは二酸化炭素の削減に直接的につながるのです。
 
二酸化炭素の削減に関しては、日本だけでなく、世界中で議論が進められています。実際、炭素税は欧州連合(EU)各国でも検討されており、イギリスやドイツ、イタリアなどの国ではすでに導入されています。
 
ちなみに日本の二酸化炭素排出量は、2013年をピークに、2018年まで5年連続で減少しており、部門別に見ると、製油所や発電所などが属する “エネルギー転換”部門がより多くの二酸化炭素を排出していることが分かります。
 


図1 日本の温室効果ガス排出量 (2018年度確報値)(環境省・報道発表資料より抜粋)
 

図2 二酸化炭素の部門別排出量(電気・熱配分前)(環境省・報道発表資料より抜粋)

私たちの生活に何か影響があるのか?

身近なものとして、ガソリン価格の上昇が挙げられます。炭素税が導入されて、炭素1トンにつき6000円が課税された場合、ガソリンの価格は1リットルあたり4円上がると考えられています。灯油も同様に4円/リットル上昇が見込まれます。
 
移動時に車を利用される方も多いでしょう。企業、特に物流に関する会社は直接的なダメージを受けると思われます。これまでとまったく同じ生活をしていると、より多くの負担を抱えることになるでしょう。
 
やはり、二酸化炭素の削減を意識した生活への移行が求められます。

では、これから、どうすれば良い?

実際のところ、炭素税はまだ導入はされていません。新型コロナウイルスの影響もあり、2022年度の導入も不透明となっています。
 
いざ導入となると、どうしても「増税」と考えてしまい、不満を感じるでしょう。今のうちに二酸化炭素の排出量を減らす生活を心掛け、炭素税が導入された際には、なるべく家計への負担が少なくなるよう、少しずつ生活を変えることを考えていきたいものです。
 
一時的な負担は増しますが、低燃費車や省エネ家電への買い替えは大きな効果があると考えられます。
 
そのほかにも、電気の使用をなるべく控える。移動は公共交通機関を使用する。このようなことでも効果はあります。二酸化炭素の排出量を減らすことは、地球のためでもあり、家計のためでもあります。

最後に

皮肉なことに、新型コロナウイルスの影響により経済活動が滞っている今、世界全体で二酸化炭素の排出量は減少しています。中国では大気汚染が改善されたとのニュースも報じられました。
 
“経済”と“二酸化炭素排出量”の相関関係は否定できません。今後、事態が終息してきたときに、“経済対策最優先”となり二酸化炭素排出量が一気に増加することのないよう、今一度、地球温暖化について考えて行きたいものです。
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

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