いまさら聞けない節税術 所得控除のキホン
配信日: 2017.12.01 更新日: 2019.01.11
Text:渡辺和子(わたなべ・かずこ)
株式会社 Miriz 取締役
確定拠出年金相談ねっと 認定ファイナンシャル・プランナー
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会会員 AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
一般社団法人公的保険アドバイザー協会 公的保険アドバイザー
青山学院大学FP3級講座 リスク管理講師
東京海上火災保険株式会社の地域型社員として勤務後、結婚を機に宮城県へ移住。大手電機メーカーの機関代理店や第一地方銀行の窓口業務を経て、2016年に創業39年続く保険代理店取締役に就任。公的保障制度や金融に関する知識を幅広くお伝えできるよう、公的保険セミナー・資産運用セミナーを多数開催。
そもそも控除ってなに?
簡単に言うと、税金がかからない部分の事です。控除額が増えれば増えるほど、税金がかかってくる部分を減らすことができます。 うまく控除を活用することで“節税”に繋がります。
■お給料(会社からの給与などの総所得)-控除額=税金がかかる所得
算出された、「税金がかかる所得」には所得税と翌年の住民税が課税されることになります。所得税率は収入によって決まっており、日本の税金の制度は、収入が高ければ高いほど納める税金も多いということになります。住民税率は住んでいる自治体によって若干異なりますが、約10%程度といえるでしょう。
主な控除の例 ・配偶者控除と扶養控除 ・障害者などの控除 ・住宅ローンの控除 ・各種の保険料控除 (社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など)
年末調整ってなに?
私たちのお給料からは、毎月所得税(=源泉徴収税)が引かれています。あくまでも概算なので、年末に再計算し、所得税の過不足の調整が必要です。それが“年末調整”です。12月や1月だけお給料が増えたなんてご経験のある方も多いのではないでしょうか。人それぞれ適用される控除が異なりますので、1年ごと調整しています。
ちなみに、控除額の申請は、自己申告となります。生命保険などは毎年書類が届きますが、地震保険などは加入時しか証明書がないものもありますので、申請モレのないように、今一度自分の使える控除のチェックすることをおすすめします。
所得控除を上手に活用しよう
控除の意味がわかったところで、使えるのに使っていない控除枠ありませんか?
例えば、平成24年1月より生命保険料控除制度が変わって、一般生命保険と個人年金保険の他に介護医療保険の枠が設けられました。
<旧制度>平成23年12月まで契約している場合
一般生命保険
保険料年10万円超で 所得控除額5万円
個人年金保険
保険料年10万円超で 所得控除額5万円
生命保険控除はMAX10万円
<新制度>平成24年1月から契約している場合
一般生命保険
保険料年8万円超で所得控除額4万円
介護医療保険
保険料年8万円超で所得控除額4万円
個人年金保険
保険料年8万円超で 所得控除額4万円
生命保険控除はMAX12万円
※新旧混在している場合の上限額は異なります。
旧制度の生命保険契約があったとします。その特約として、入院保険やがん保険に加入していた場合、保障を見直して、死亡保険と医療保険をバラして新たに契約すると、所得控除が最大で5万円→8万円に拡大する可能性があります。もちろん所得控除を増やしたいが為に見直す訳ではありませんが、知っているのと知らないのとでは、違いますよね。
あるいは企業の役員さんや、自営業者のかたには、掛金の全額が所得控除になる制度として、小規模企業共済掛金等控除枠などもあります。最近話題のiDeCo(個人型確定拠出年金)もこの枠となります。
なかなかお金が増えない現在を生きる私たちにとって、出ていくものへのアンテナを高く持つということも大切です。今年の年末調整は「何となく」ではなく、能動的に取り組んで税金に対する意識を高めてみませんか。
Tex:渡辺和子(わたなべ・かずこ)
株式会社 Miriz 取締役
確定拠出年金相談ねっと・認定ファイナンシャル・プランナー
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会会員・AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
一般社団法人公的保険アドバイザー協会・公的保険アドバイザー
青山学院大学FP3級講座・リスク管理講師