更新日: 2020.11.13 控除
子持ちの高額所得サラリーマン。2020年から所得金額調整控除が利用できるって本当?
例えば、2018年から実施された配偶者控除・配偶者特別控除の改正では、配偶者の収入がゼロでも、世帯主の年収が1095万円を超えると配偶者控除の金額が減り始め、1195万円を超えると配偶者控除が全く受けられなくなっています。
しかし、2020年に所得金額調整控除が創設され、子どもがいる高所得サラリーマンは減税となる税制改正が始まりました。
今回はその内容について解説したいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除とは?
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は2020年から適用になる制度で、年収が850万円以上の方が受けられる控除となり、次のいずれかに該当する方が対象となります。
●適用対象者
・本人が特別障害者である
・同一生計配偶者または扶養親族に特別障害者を有する方
・年齢23歳未満の扶養親族を有する方
特別障害者への税制優遇だけではなく、子育てを支援する目的から年収850万円を超えている人であっても、23歳未満の扶養親族がいれば所得金額調整控除を受けることができます。
児童手当などの子育て支援の制度は今までも見られましたが、年収850万円を超えている方に対して税制優遇をするという点が注目に値します。
実際の控除額はいくらになるか?
では実際の控除額はいくらになるでしょうか?
所得金額調整控除額の計算式
{給与などの収入金額(1000万円超の場合は1000万円)-850万円}×10%=控除額
年収850万円を超えた部分の10%が控除額となるので、
年収950万円の場合、控除額は10万円
年収900万円の場合、控除額は5万円となります。
年収1000万円を超える方の場合は一律1000万円で計算するので、15万円の控除額を得られます。
年収1000万円を超える方で所得税率20%、住民税率10%として試算すると、節税額は次のとおりとなります。
15万円×30%=4.5万円
共働き夫婦の場合、所得金額調整控除を二重に受けることが可能
共働き夫婦で2人とも年収850万円を超える場合、23歳未満の扶養親族である子がいれば、夫婦それぞれが控除を受けることが可能です。つまり、夫婦で最大30万円の控除、最大9万円の節税が可能ということになります。
まとめ
近年、増税傾向が目立っていた高所得サラリーマンの方々にとっては、久々の朗報ということができます。条件に当てはまる方は、年末調整の際、忘れずに所得金額調整控除申告書を提出するようにしましょう。
所得金額調整控除の制度は、給与所得と年金所得の双方を有する方にも適用されますが、この記事では、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除について説明しました。
参考
国税庁 No.1411 所得金額調整控除
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー