セルフメディケーション税制の基本! 対象や条件は?
配信日: 2020.12.17
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、健康の維持や疾病の予防のために一定の取り組みを行っている方が、自分または生計を一にする配偶者、その他の親族のために対象医薬品を年間で1万2000円以上購入した場合に受けられる所得控除です。
セルフメディケーション税制は医療費控除との選択制
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、医療費控除とセルフメディケーション税制の併用はできません。従って、両者の要件を満たしていたとしても適用を受けられるのはどちらか一方となります。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は?
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は何でもよいというわけではなく、特定一般用医薬品等購入費の範囲となる一定の医薬品に限られます。
対象の医薬品は、薬局で買えるものから医師の診察により処方されるものまで幅広くあります。それ故、この記事内で全てを紹介することは困難です。詳細については、厚生労働省のホームページにある「セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧」をご参照ください。
なお、一部の医薬品のパッケージには対象である旨を示す、以下の「セルフメディケーション税制 共通識別マーク」が付いてあり、分かりやすい指標になっています。
※国税庁 「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」より引用
セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件は?
セルフメディケーション税制の適用を受けるには、その年に健康の維持や疾病の予防に関して次のような取り組みを実施している必要があります。
- ★保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査(人間ドックや各種健診・検診など)
- ★市区町村が健康増進事業で行う健康診断
- ★予防接種
- ★勤務先で行う定期健康診断
- ★特定健康診査(メタボ検診)、特定保健指導
- ★市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
なお、上記の取り組みに要した費用はセルフメディケーション税制による控除の対象とはならないため注意してください。
セルフメディケーション税制の控除額は?
セルフメディケーション税制による控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(加入している保険の保険金などで補われる部分を除く)から1万2000円を差し引いた金額で、最高8万8000円になります。
セルフメディケーション税制は確定申告が必要
セルフメディケーション税制の適用を受けるには確定申告が必要です。その際は次のような書類を提出します。
・セルフメディケーション税制の明細書
・一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類(健康診断の結果通知や予防接種済証など)
確定申告は例年翌年の2月中旬から3月中旬に行うものとされています。詳細については最寄りの税務署へお問い合わせください。
セルフメディケーション税制を利用して賢く健康維持を
手術や病気の治療など、一般の医療費控除の対象となる医療費の支出がない場合でも、セルフメディケーション税制を選択することでお得に健康を維持増進させることができます。対象となる医薬品の範囲が決まっているものの、一般の医療費控除を利用する機会がないという方にはおすすめできる制度です。
日々健康に気を使っている、あるいは今後、健康の維持に取り組みたいと考えている方は、ぜひセルフメディケーション税制の利用について検討してみてください。
出典
国税庁 令和元年分 確定申告特集 セルフメディケーション税制の概要・手続など
国税庁 No.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用
国税庁 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
厚生労働省 セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版)
執筆者:柘植輝
行政書士