更新日: 2021.01.08 控除

医療費が10万円を超えなくても医療費控除が使える場合がある?

執筆者 : 柘植輝

医療費が10万円を超えなくても医療費控除が使える場合がある?
医療費控除は10万円を超えないと適用されないと思っていませんか?
 
実は医療費控除は所得によって10万円以下でも適用される場合があるのです。今回は医療費控除と所得について見ていきましょう。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、自分や生計を一にする配偶者や子ども、親族のために支払った医療費が一定額を超える場合、その医療費の額を基に計算された金額について所得控除を受けられるというものです。
 

所得が200万円未満なら医療費の額が10万円以下でも医療費控除が適用になる

医療費控除はよく「10万円を超えないと適用されない」といわれることがありますが、それは半分間違いです。なぜなら所得が200万円未満であれば、使用した医療費の額が10万円未満であっても医療費控除を受けられることがあるからです。
 
具体的には、総所得金額などが200万円未満で総所得金額の5%を超える医療費を支払った場合、その超えた部分が医療費控除の対象になります。
 
例えば、総所得金額が180万円である人は、医療費が9万円(180万円の5%)を超えていれば、その超えた部分が医療費控除の対象となるのです。この際、生命保険の保険金などで補填(ほてん)される金額があればその分については医療費から差し引きます。
 
例えば、年収180万円の方が10万円医療費控除を受けていても、生命保険などで2万円の保険金を受け取っていた場合、その金額は差し引かれ、医療費は8万円と考えて計算されます。すると、実質的な医療費の支出が9万円以下となるため医療費控除を受け取れないということになるのです。
 

医療費控除の対象となるもの

医療費控除は基本的に医師による治療や介護サービスの利用などで支出した医療費が対象になります。そのほかにも以下のような支出も対象になることもあります。
 

薬局で購入した薬

薬局で購入した風邪薬など、医療機関で処方されていない市販薬の購入費も医療費控除の対象となります。日常的に薬局で薬を購入している場合、1年間の薬代が数万円近くなっていたということも少なくありません。
 
ただし、ビタミン剤や栄養ドリンクなど健康促進に用いるようなものは対象外になります。

 

交通費

通院に必要な電車代やバス代、タクシー代といった交通費も医療費控除にかかる医療費の対象となります。

医療費控除の適用を受けるには?

医療費控除の適用を受けるには自身で確定申告をする必要があります。勤務先の年末調整で医療費控除を受けることはできません。
 
確定申告に当たっては医療費を支出したことが証明できる領収書やレシートが必要になります。なお、確定申告は翌年2月中旬から3月中旬ごろに行うのが通例になっています。
 
参考までに令和2年中の医療費にかかる確定申告は令和3年2月16日から3月15日までの期間に行うこととなっております。また、医療費控除などの還付申告のみであれば、翌年1月1日以降に行うことができます。
 

医療費控除の対象とならないもの

未払いの医療費や美容を目的とした歯列矯正、インフルエンザの予防接種など実際にお金が支払われていないものや治療目的でない医療費は医療費控除の対象外となります。
 

医療費控除は医療費が10万円でも適用できることがある

総所得金額が200万円未満で、医療費が所得の5%を超えている場合は医療費の金額が10万円以下であっても医療費控除の適用を受けられることがあります。
 
医療費控除の医療費には薬局で購入した医薬品の代金や、病院へ通う際の交通費も含まれます。医療費の支出で困っているという場合は一度収入と医療費について確認し、医療費控除の利用を検討するようにしてください。
 
出典
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
 

執筆者:柘植輝
行政書士