家族分の社会保険料控除は確定申告が必要ってホント?
配信日: 2021.02.26
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
家族分の社会保険料も社会保険料控除の対象
意外に思われるかもしれませんが、自分自身の社会保険料だけでなく、家族のために支払った社会保険料も、社会保険料控除に含むことができます。
ただし、これはあくまでも生計を一にしている配偶者や子ども、親族の社会保険料であることが条件です。現実として一緒に住んでいなくとも、社会保険料を支払った人から仕送りを受けて生活をしていれば生計を一にしていると判断されます。
この生計を一にしているという判断は、社会保険料を支払った時期で決まります。例えば、父親が生計を一にしている息子の国民年金保険料を負担したが、社会保険料控除の適用を受ける時点では生計を別にしていたという場合でも、支払った社会保険料は父親の社会保険料控除分として計算してよいのです。
社会保険料控除の対象となる社会保険料は?
社会保険料控除の対象となる社会保険料のうち、家族の分として支払う社会保険料の例としては下記のようなものがあります。
・健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
・国民健康保険の保険料または国民健康保険税
・高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
・介護保険法の規定による介護保険料
・雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
・国民年金基金の加入員として負担する掛金
など
家族分の社会保険料控除は年末調整で対応可能
会社員などで勤務先の年末調整を受けられるのであれば、自分の社会保険料控除は年末調整で適用することができます。同様に、家族の国民年金保険料を支払ったなどして社会保険料控除が発生した場合、家族分の支払いも年末調整で適用することが可能です。
こうしたケースでは、年末調整の書類を提出する際に家族分の社会保険料の記載を忘れないようにしてください。
年末調整だけでなく確定申告でも可能
自営業者など年末調整を受けていない方は、確定申告で家族分の社会保険料を社会保険料控除に適用させることができます。
なお、勤務先で年末調整を受けそびれた方や、年末調整で家族分の社会保険料の記載を忘れてしまったという方も、確定申告をすることで控除が受けられます。
支払った家族分の社会保険料はいくら控除される?
支払った社会保険料は全額、その年の社会保険料控除の対象となります。家族分の社会保険料も自分の社会保険料も同様です。また、翌年以降の分を前払いした場合についても、前払い分を含めた全額が支払った年における社会保険料控除の対象となります。
例えば、2020年に家族の社会保険料を2020年分と2021年分をまとめて払った場合、2020年分の社会保険料控除は両方の年の保険料全額が対象となるのです。
家族分の社会保険料控除は年末調整でも対応可能
家族の社会保険料を負担した場合、その年に負担した全額が社会保険料控除の対象となります。ただし、翌年以降分の社会保険料をまとめ払いしていた場合、その年分の保険料はその年分として、翌年以降分のものは翌年に控除することもできます。
家族分の社会保険料控除は、勤務先で年末調整を受けられる場合は年末調整で、年末調整を受けられない人や年末調整で記載を忘れた場合は、確定申告で適用可能です。
年末調整を受けられなかったり、年末調整で正しく家族分の負担の適用を受けられなかったとしても、確定申告をして社会保険料控除の適用を受けるようにしてください。
出典
国税庁 No.1130 社会保険料控除
執筆者:柘植輝
行政書士