〈中学受験をしたい!〉 ②中学入学以降の教育費、いくらかかる?どう準備する?

配信日: 2017.06.09 更新日: 2019.01.10

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〈中学受験をしたい!〉 ②中学入学以降の教育費、いくらかかる?どう準備する?
中学受験が終わって、ホッと一息と思いきや、その先の教育費のことも考えておかなければなりません。
ちまたでは、子供1人あたり1,000万円と言われる教育資金ですが、住宅資金や老後資金と並び、人生の三大支出といわれるのもわかります。
進むコースによって教育費は大きく変わり、4年制大学に進学する場合、すべて公立の場合は約770万円であるのに対し、すべて私立の場合は2,200万円を超えていきます。中学から私立の通うとなると約1,500万円です。(小学校のみ公立の場合)
黒澤佳子

Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。

https://www.atharmony-office.jp/

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入学してからかかる費用、大学受験をするかどうか?

東京都「平成29年度 都内私立中学校の学費の状況」によると、都内の私立中学校の初年度納付金(授業料、入学金、施設費及びその他毎年度納付する費用)の平均は94万5,193円です。
 
初年度に100万円かかる!それに驚いていてはいけません。入学金を除いた授業料その他は毎年かかるお金なのです。この後5年間それを学費として払い続けることになります。
 
文部科学省「子供の学習費調査(平成26年度)」によると、中学・高校が私立の場合、6年間でかかる学習費総額は約700万円です。この学習費には、学校教育費や給食費だけでなく、学校外活動費も含まれています。
 
「大学受験をするか、しないか」は、この学校外活動費に大きな影響を与えます。
 
大学受験のための学習費、いわゆる塾代・予備校代は幅があり、年間50~100万円ともいわれます。浪人した場合は、昼間も予備校の授業を受けられるので受講コマ数が増え、この1.5倍を覚悟しておいた方がよさそうです。
 
ただし大学受験がなければこれらの費用はかかりません。大学付属校はやや授業料等が高い傾向にありますが、大学受験がないというメリットは、このようなところにも表れています。
 

教育資金の作り方、貯める目標額と使う時期のスケジュールを立てよう

教育費はトータルすると非常に大きな額になりますが、必要な時期は分散するものです。
 
(例)
●中学受験の塾代
小4:50万円、小5:80万円、小6:120万円
●中学受験にかかる費用+初年度納付金
小6:120万円
●中学・高校授業料
中2~高3まで:年間100万円
●大学受験の塾代・予備校代
高1:30万円、高2:50万円、高3:100万円
●大学受験にかかる費用+初年度納付金
高3:150万円
●大学授業料
大2~大4まで:年間100万円
 
とすると、貯める時期や目標額が明確になります。
 
本来教育資金は、子供が誕生したら出費の時期が決まってくる性格のものです。まだ教育費が大きくかからない低年齢のうちに、教育資金作りを始めましょう。中学受験をするなら「小3までが貯め時」です。
 
例えば、児童手当を貯めた場合、中3までに約200万円になります(所得制限なしの場合、金利は考慮しない)。さらに毎月5万円ずつ追加で貯めれば、小3までに540万円、中3までに360万円、高3までに180万円貯められます。
 
しかし「教育資金として貯めていたお金を、入用の際に使ってしまった」という話をよく聞きます。教育資金作りに適しているのは、下記商品をお勧めします。
 
①元本割れしない
②必要な時期に使える
③確実に教育資金が作れる(必要な時期以外には使うことができない)
 
会社員の場合は、財形貯蓄を利用すると、給料から天引きされ、簡単には引き出せないので、確実に貯めることができます。こども保険や学資保険を利用する場合には、受取り時期に注意してください。
 
契約者である親に万が一のことがあった場合に、以降の保険料を免除されるのはありがたいのですが、満期金を18歳にしか受け取れないように設定すると、途中の時期には使えません。
 
祖父母からの教育資金の一括贈与を受けるという方法もあります。この場合、1,500万円までが非課税になります。(実際に利用する際には細かな条件あり)。
 
また、ジュニアNISAを使って、運用益の非課税メリットや暦年贈与の範囲内での贈与などの恩恵を受けるのもよいでしょう。ただし、将来必ず使うお金なので減っては困ります。安定運用を心掛けてください。
 

目標額に足りなかったらどうする?

教育資金の準備が間に合わなかった場合は、教育ローンを借りるという方法があります。
 
教育ローンには、公的教育ローンと民間教育ローンがあり、日本政策金融公庫が取り扱う国の教育ローン(教育一般貸付)は350万円まで(海外留学の場合は450万円まで)借りられます。入学金や授業料だけでなく家賃などにも使える幅広さがある一方で、所得制限があるので、もし借りられない場合は、民間銀行が扱う教育ローンを検討してもよいでしょう。
 
また奨学金は、今や2.6人に1人が利用している制度です。日本学生支援機構(JASSO)では、貸与型の奨学金として、第一種(無利子)と第二種(利息付)があります。第一種の方が第二種よりも成績要件が厳しいため、実際の利用者は第二種の方が多くなっています。
 
まだ利用は限られていますが、将来的には返済義務のない給付型も利用できるようになるかもしれません。
 
教育ローンよりも奨学金を優先して利用する方が多いのですが、教育ローンも奨学金もどちらもローンです。お金を借りるからには利息を付けて返済しなければなりません。
 
教育ローンと奨学金の大きな違いは、教育ローンは親が返済するのに対して、奨学金は子供本人が返済するということです。
 
例えば、日本学生支援機構の有利子奨学金を限度額まで借りると、月12万円まで借りられます。これを4年間借りると総額576万円、20年かけて返済(返還といいます)すると、月26,606円の返済になります(日本学生支援機構Webより)。
 
大卒初任給の平均額が19.96万円(厚生労働省「平成24年賃金構造基本統計調査(初任給)」)だとすると、手取りはおよそ16万円程度。その中から3万円近い額を毎月返済するのは、決して楽ではないことを承知しておいてください。
 
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士、システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表

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