年末調整で払い過ぎた所得税が戻ってくることも。きちんと手続きを!
配信日: 2017.11.10 更新日: 2020.04.03
年末調整は、この1年間の源泉所得税の総額と、給与の総額からいろいろな控除を差し引いて算出した年税額とを比べ、過不足を精算する手続きです。
給与所得者は、後述する確定申告が必要な人を除き、年末調整で納税が完結します。
生命保険等の掛金を支払ったり、iDeCoの掛金を拠出したり、年の途中で扶養家族が増えた等、控除額が増える場合は、払い過ぎた所得税が戻ってきます。
子どもが就職したり、配偶者が扶養控除対象でなくなる場合は、納税額が不足する分を今年最後の給与で納めることになります。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
資料を早めに準備しておきましょう
『給与所得者の扶養控除(異動)申告書』は年の最初の給料を支給される前に会社に提出済みのものですが、年の途中で扶養家族に変更があれば、その都度、会社に異動申告書を提出します。
正しい税額を算出するために、遅くても年末調整までには提出しておきましよう。
他の所得控除は、『平成29年分 給与所得の保険料控除申告書 兼 給与所得の配偶者特別控除申告書』で計算します。控除の申告には証明書類を添付する必要があります。
10月に入って、各保険会社や国民年金基金などから掛金の払い込み証明書が送られてきていると思います。それをまとめて準備しておきましょう。
なお、社会保険料控除につきましては、生計を一にする方の国民年金保険料や国民年金基金を支払った場合以外は書類の添付は必要ありません。
控除申告書に記入の際の注意点
払込証明書を基に、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・配偶者特別控除を必要に応じて記入します。
生命保険料控除の欄に、一般と個人年金に新保険料・旧保険料とありますが、平成24年1月1日以降に締結した契約が新保険、平成23年12月31日までに締結した契約が旧保険です。
それぞれ計算式に当てはめて算出しますが、控除額は12万が上限となります。
もし、払込証明書を紛失した場合、早めに再発行して貰いましょう。
社会保険料控除については、ご自身の給与から差し引かれた分については記入の必要はありません。
それ以外の、例えば学生のお子様の国民年金保険料を支払った等あれば記入します。
iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除に記入します。
社会保険料控除では本人の代わりに支払った分も控除出来ますが、iDeCoの掛金は本人しか控除出来ません。
配偶者特別控除については、配偶者が配偶者控除の対象である場合、他の人の扶養親族とされる場合、青色もしくは白色事業専従者に該当する場合は申告出来ません。
また、合計所得1000万円超の方の配偶者の場合も申告出来ません。
給与所得者で確定申告が必要な場合
給与所得者でも、給与を2カ所以上から受け取っている人、収入金額が2000万円を越える人、給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超える人は、確定申告が必要です。
医療費を一定額以上払った人や災害や盗難の被害に遭った人、業務遂行のための特定支出の金額が給与所得控除後の1/2を超える人は、確定申告により納めすぎた税金が戻ってきます。
給与所得や退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合でも、医療費控除等で確定申告をする場合は、一緒に申告が必要になります。
住宅借入金等特別控除を受ける最初の年は、確定申告が必要です。翌年からは年末調整でします。
※年末調整につきましては国税庁のホームページに様々掲載されていますので、ご参照ください。<国税庁>で検索してください。
Text:林智慮 (はやし・ちりよ)
CFP®認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
https://wiselife.biz/fp/chayashi/