更新日: 2022.04.07 NISA

つみたてNISAを始めたい! 60代からでも遅くない?

つみたてNISAを始めたい! 60代からでも遅くない?
人生100年時代といわれています。60歳の場合、単純計算をすると、残りの人生は40年あります。
 
会社員として働いている人のなかには、かつての定年年齢となった60歳以降も働き続ける人がいらっしゃいます。その理由としては、「生活費を得たい」といった経済的な理由をお持ちの方もいるでしょう。
 
60歳で定年になったとしても、働きながら生活費を稼ぎ、老後のために資産運用をして「資産寿命(老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間)」を少しでも延ばすことが、人生100年時代には必要です。
 
そういった60代から資産運用をする方には、金利の低い普通預金や定期預金といった金融商品以外に、少しでも資産寿命を延ばすために、少額から投資可能な非課税制度が使える「つみたてNISA」を活用することも検討してもよいでしょう。
 
今回は、この「つみたてNISA」の基本を振り返り、60代から始めるメリットと留意点について考えてみたいと思います。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

「つみたてNISA」とは?

つみたてNISAとは、2018年1月から開始され、一定額までの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
 
少額から投資ができ、分配金と値上がりした後に売却して得た譲渡益については、20年間非課税になるので、お得な制度といえます。
 

(1)利用できる方

日本にお住まいで、口座を開設する年の1月1日現在で20歳以上の方が対象です。ただし、つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択してする必要があります。
 

(2)非課税対象

NISAの対象商品である投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益です。
 

(3)口座開設可能数

1人1口座
 

(4)非課税投資枠

新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円)。ただし、未使用分があっても翌年以降への繰り越しはできません。
 

(5)非課税期間

最長20年
 

(6)投資可能期間

2018~2042年
 

(7)投資対象商品

長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託。例えば、公募株式投資信託の場合、販売手数料が0円で信託報酬も低く、頻繁に分配金が支払われない商品などの法令上の条件が設けられています(※)。
(※)ただし、対象商品のETFには、通常売買委託手数料がかかります。
 

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60代でも遅くない! つみたてNISAのメリットと留意点

(1)メリット

1. 非課税制度を活用できる
なんといっても、非課税制度が活用できるメリットは大きいです。
 
通常であれば、投資から得られる分配金や譲渡益に対して、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率がかかりますが、それがゼロになります。
 
2. 手軽に投資が可能
定年退職をして、働きながら生活費を稼ぐ、そして先の老後のために資産運用をする方で投資経験の少ない方にとっては少額(100円)から始められるので、投資のハードルが低く手軽に開始できます。
 
3.(デリバティブ取引を取り入れない)リスクを低減した金融商品から選べます。
 
4. 「長期・積立・分散」運用をしながらリターンを期待できます。
 
5. いつでも現金化できます。
 

(2)留意点

1. 投資にリスクが伴う
選択肢の中にリスクを低減した金融商品が多く含まれているとはいえ、値下がりをすることもありますので、あくまで自己責任で行う必要があります。
 
2. 短期で大きなリターンは期待できない
「つみたてNISA」は、新規投資額で毎年40万円が上限であり、「長期・積立・分散」投資を行うものですので、短期での大きなリターンは期待できません。
 
老後資金に余裕があり、リスクをもっととれる人は、新規投資額で年120万円が上限である一般NISAの活用を検討してみるとよいでしょう。

3. ロールオーバーができない
新規投資額で毎年40万円を上限に投資ができます。しかし、未使用の分があった場合でも、翌年やそれ以降に繰り越せません。
 
4.損益通算ができない
NISA口座で保有している金融商品が値下がりした後に、売却などを行って損失が出たとしても、一般口座・特定口座で持っている商品の配当金、そして売却で出た利益との相殺(損益通算)を行うことはできません。
 
以上、「つみたてNISA」のメリットと留意点について確認しました。
 
大切な老後資金ですので、ご自分の資産の状況とライフプランをよく考えて投資をするようにしましょう。また、金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもよいでしょう。
 
出典
金融庁 つみたてNISAの概要
金融庁 つみたてNISA早わかりガイドブック
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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