更新日: 2022.06.06 資産運用

「不動産小口商品」による節税とは? 商品の概要と注意点を解説

執筆者 : 高橋庸夫

「不動産小口商品」による節税とは? 商品の概要と注意点を解説
近年、資産運用や資産形成、節税対策などを目的として、少しずつ注目度が高まっているのが「不動産小口化商品」です。
 
この商品は、不動産特定共同事業者として国土交通大臣や都道府県知事に許可された事業者(令和4年3月31日現在、214事業者)が、複数の投資家から出資を受けるなどをして集めた資金によって収益不動産を取得・運用し、そこから得られた収益を投資家に分配するものです。
 
ここでは不動産小口化商品の概要や、節税の方法などについて確認してみたいと思います。
 
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

代表的なタイプは「匿名組合型」と「任意組合型」

不動産小口商品には、代表的なタイプとして「匿名組合型」と「任意組合型」があります。
 

(1)匿名組合型

投資家と事業者が匿名組合契約を結び、投資家が出資した金銭によって、事業者が保有する不動産を賃貸などで運用し、それによって得られた収益を投資家の出資割合に応じて分配する仕組みです。
 
あくまでも不動産の所有権は事業者にあるため、投資家には登記費用などの負担はありません。また、投資家の名前が登記されず、投資家同士でも匿名性があるので「匿名組合型」と呼ばれています。
 
投資家が得る分配金は不動産所得ではなく、雑所得となります。期間が10年以内など、比較的短期の金融資産の運用を考えている場合にお勧めの商品といわれています。
 

(2)任意組合型

任意組合型は、節税を目的とする投資家向きの商品となっています。
 
匿名組合型との大きな違いは、投資家が不動産の共有持分を所有する点です。投資家と事業者は任意組合契約を結び、投資家が取得した共有持分を任意組合に現物出資します。そして、事業者が不動産を運用し、得られた収益を投資家に分配します。
 
不動産の所有権は共有持分として投資家にあります。当然ながら登記簿には投資家の名前が記載され、自らの所有権を第三者に対抗するために登記することもできます。
 
また、任意組合型の場合、実物の不動産を所有して賃貸などの収入を得る形態となるため、投資家が得る分配金は不動産所得となります。
 

「任意組合型」による節税イメージ

特に節税効果が高いとされる任意組合型については、実物の不動産の場合と同様に相続や贈与の際には、土地は原則として相続税路線価での評価となり、建物は固定資産税評価額での評価となるため、その評価額を引き下げることができます。
 
また、土地の上に貸家が建てられた不動産を想定すれば、土地部分は貸家建付地として、建物部分についても貸家としての評価による一定の評価減となります。
 
さらに、相続税の課税価格の計算(小規模宅地等)の特例の条件に該当する場合には、限度面積の部分について課税価格を大幅に減額することができます。
 
そして、もう1つのメリットは実物の不動産と違い、相続や贈与の際に分割しやすいことが挙げられるでしょう。
 
例えば、1口50万円の商品を30口購入すれば1500万円の投資となりますが、3人の子どもに10口ずつ贈与するなど比較的容易に分割できます。また、その不動産から得られる分配金を使って、受贈者の子どもが将来の相続税の納税資金などの準備に役立てることも可能です。
 

「任意組合型」の注意事項

実物の不動産投資と同様に価格変動、事業者の信用、災害など、さまざまなリスクがあることは当然理解しておく必要があり、それ故に元本保証や賃料保証は基本的にはありません。
 
また、不動産購入後の管理は事業者が行うため、投資家にはそれほど手間はかかりませんが、事業者への管理コストは運用益などから差し引かれることになります。そのため、商品によっては実物の不動産への投資と比較して、利回りが低くなりやすい傾向があります。
 
さらに、数年から数十年で設定される契約期間中でも、市況などの状況によっては不動産が売却されるケースもあります。

まとめ

昔から有事には現物投資が注目されるといわれています。現実として、昨今の金価格の高騰や都市部でのマンション価格の高騰などは、その顕著な表れといえるでしょう。
 
不動産小口化商品は、投資の鉄則である分散投資の選択肢の1つとして、今後ポートフォリオに組み込まれていくことが考えられます。その際の商品の選定には、前述の管理コストなどの内容とともに、対象不動産の今後のニーズや想定されるリターンの見極めなどが重要となるでしょう。
 

出典

国土交通省 不動産特定共同事業者許可一覧
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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