更新日: 2023.04.12 その他資産運用
【客観的な指標の1つ】投資信託をするときシャープレシオは大事
ではその際、どの投資信託を選べばよいのでしょうか。銀行や証券会社の勧められるままに選んでいませんか? そして、手数料の高い投資信託になっていませんか?
しかし、客観的な指標で選びたいですよね。その重要な指標の1つが「シャープレシオ」なのです。
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。
人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。
リターンとリスクとは
リターンとは、「資産運用を行うことで得られる収益」のことです。
一方、金融商品のリスクとは、一般的な「危険なこと」「避けるべきこと」という意味ではなく、「リターンが不確実である(予測できない)こと」を表します。
不確実の度合い(振れ幅)が大きいことを「リスクが大きい」、小さいことを「リスクが小さい」といいます。つまり、「リスクが大きい」とは、「大きく収益が得られるかもしれないし、大きく損失が出るかもしれない」という意味です。
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シャープレシオとは
シャープレシオとは、考案者ウイリアム・シャープ博士(ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者)の名前をとったものです。
リターンから無リスク資産利子率を引いた数値をリスクで割ることで求めた、運用効率を計るための指標となります。数値が大きいと「運用効率性が高い」とされています。
ただし、単純にリターンを比較するということではありません。運用成果を「リスクとの見合い」で判断しようとするものであり、価額変動幅、リスクを考慮した代表的なパフォーマンス評価方法です。
シャープレシオを求める計算方法とは?
シャープレシオを求める計算方法は、「(リターン-無リスク資産利子率)÷リスク」です。
リターンから無リスク資産を引いたものを、リスクで割ることで、ファンドのリスクに対する大きさが示されます。無リスク資産利子率は、元本が保証されている預貯金や国債の利回りがよく用いられます。
ファンドのリターンから無リスク資産利子率を引く理由は、リスクを取ることなく得られるリターンよりも高リターンを得るためです。
もしリスクをとることなくリターンが得られるならば、無リスク資産だけで運用すればいいですよね。でも残念ながら現時点でそんな有利な無リスク資産は見つからないように思います。
どう見るか? 成績を比較してみよう
2つのファンドの成績を比較してみましょう。
無リスク資産利子率:1%、
ファンドA(リターン:11%、リスク:5%)
ファンドB(リターン:21%、リスク:20%)
それぞれのシャープレシオを計算します。
ファンドA:
(11%-1%)÷5%=シャープレシオ 2.0
ファンドB:
(21%-1%)÷20%=シャープレシオ 1.0
リターンを比較すると、ファンドAが11%、ファンドBが21%となっていて、リターンだけではファンドBのほうが大きいのですが、シャープレシオで比較すると、ファンドAのシャープレシオが2.0、ファンドBのシャープレシオが1.0なので、ファンドAのほうが効率よく収益が上がるということになります。
【図表1】
図表1で見ると、同じリスクをとった場合、ファンドAのほうがファンドBよりもリターンが大きいということです。
注意点
ただし、シャープレシオの比較でも、比べるファンドの内容が大きく異なるものであれば、意味がありません。例えば、債券と株式のように特性がまったく異なるものの比較などは意味がありません。
また、比較する時期が各銘柄で大きく異なっている場合、例えば、2000年から2005年と、2010年から2015年と、いずれも「5年間」という期間ですが、時期が異なると意味がありません。
シャープレシオによる比較においては、ファンドの内容が似たようなもので、かつ時期的に近いものでの比較が有効です。投資信託の商品を選ぶ際の参考にしましょう。
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント