更新日: 2024.03.17 その他資産運用
フリーランスとパートの主婦です。うちの家庭、iDeCoとNISAどちらが向いていますか?
今回は、未就学児お子さんが1人いるフリーランスとパート主婦家庭のAさん一家(40歳)から、同様の質問をいただきました。本記事で、アドバイスした内容を紹介します。
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
iDeCoとNISAの違いを理解する
まず、iDeCoは老後のための資産形成制度です。そのため、60歳まで資金を引き出すことはできません。また、掛金を全額所得控除できることもiDeCoの大きな特徴です。掛金全額を所得から差し引けるため、所得税と住民税を減らすことができるのです。これはNISAにはない特徴です。
また、投資できる金額にも違いがあります。NISAは生涯で投資できる金額は1800万円までで期限はありませんが、iDeCoは職業や勤め先によって、積み立てできる金額は異なります。Aさんのようなフリーランスの場合、年間81万6000円までを60歳まで(要件にあてはまれば65歳まで)積み立てることができます。
一方、iDeCoにもNISAにも共通する特徴は、利益に対して非課税という点です。運用で得た利益に対して、通常、約20%の税金がかかるところですが、これがかからない点は両者に共通する大きなメリットです。まずはこの基本的な違いを理解しておきましょう。
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AさんがすべきはiDeCo? NISA?
次に、Aさんの状況を考えます。Aさんはフリーランスですから、国民年金第1号被保険者です。老後の主な年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つですが、厚生年金は公務員や会社員など第2号被保険者が加入できる制度のため、Aさんは加入できません。
したがって、Aさんの老後の年金は老齢基礎年金のみとなります。老齢基礎年金は20歳から60歳まできっちり保険料を納めた場合、満額支給となり、その金額は約80万円です。
同様に、Aさんの妻の年金を考えます。Aさんの妻はパート勤務とのことですが、フリーランスの配偶者には扶養制度がありませんから、Aさんの妻もAさんと同じ第1号被保険者で、老後の年金はAさんと同じような状況です。しっかり準備しておかないと、厳しい老後になることが予想されます。
一方で、未就学児のお子さんが1人いるとのことですから、教育費も考えておかなければいけません。このような状況で、iDeCoとNISAどちらが適しているでしょうか。
Aさんが優先すべきはiDeCo
老後の年金が夫婦合わせて年間約160万円というAさんの状況を考えると、優先されるのはiDeCoといえるでしょう。老後資金はすぐに準備できるほどの金額ではありません。早めにコツコツ準備することが必要です。
Aさんは所得が400万円とのことですから、仮にiDeCoを毎月3万円すると 所得税と住民税合わせて年間約7万円節税できると思われます。これが60歳まであと20年続くと7万円×20年=140万円ですから、節税効果はとても大きいことが分かります。
また、非常に単純計算ではありますが、毎月3万円を20年間利回り3%で運用できれば、元本720万円で約1000万円の資金を作ることができる計算になります。運用は長期が基本ですからAさんは今すぐにiDeCoを始めることをお勧めします。
Aさんの妻が優先すべきはNISA
一方、Aさんの妻は、現在年収100万円ほどとのことですから、まずは年収20~40万円ほど増やして、厚生年金に加入することを検討しましょう。パートという働き方を続けるのであれば、第1号被保険者にとどまるメリットはありません。厚生年金に加入することで、老後は老齢厚生年金も受け取ることができます。
また、Aさんはフリーランスで収入の増減があるとのことですから、なおさら妻の収入を増やす必要があるでしょう。とはいえ年収20~40万円増えた程度では、年金を大きくは増やすことはできません。お子さんの成長をみながら働く時間を増やし、収入アップを目指していきましょう。
このような状況から、できればAさんの妻もiDeCoに加入することが理想ですが、一方で教育費も準備しないといけません。老後より教育費の支出のほうが早くやってきますから、まずはNISAで教育費を準備するためAさんの妻はNISAを始めてはいかがでしょうか。
年収アップで積み立ての余裕が出てきたら、Aさんの妻もiDeCoで老後資金準備を行っていきましょう。
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士