誰も住んでいない実家について「月10万円で貸せる」と言われました。ただ、修繕に「250万円」かかるそうです。売却せず賃貸にするほうが得でしょうか?
月10万円なら年間家賃は120万円です。一方、貸し出す前に250万円の修繕費が必要なら、その金額を回収するまでには時間がかかります。
賃貸と売却のどちらがよいかは、家賃収入だけでは判断できません。実際に手元に残る金額から考えてみましょう。
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目次
月10万円で貸せても250万円を約2年で回収できるわけではない
毎月10万円の家賃を1年間受け取れれば、年間の家賃収入は次の通りです。
10万円×12ヶ月=120万円
250万円÷120万円=約2.08年
単純計算では、2年1ヶ月程度で修繕費250万円に相当する家賃を受け取れることになります。しかし、これは毎月入居者がいて、家賃120万円がすべて手元に残ると仮定した計算です。
実際には、入居者がいない期間が発生する可能性があります。さらに、不動産会社へ管理を委託すれば管理費がかかる場合があり、固定資産税、火災保険料、将来の修繕費なども考えなければなりません。
たとえば年間120万円の家賃収入があっても、管理費や固定資産税、保険料などの年間の支出が30万円なら、差し引き90万円です。この金額だけで単純計算すると、250万円に達するまで約2.8年かかります。
実際の回収期間は、空室や追加修繕などによってさらに長くなる可能性があります。
250万円の工事費がすべて一度に経費になるとは限らない
税金についても確認が必要です。
国税庁によると、不動産所得は原則として「総収入金額-必要経費」で計算します。貸付物件に関する固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などは、一定の条件のもとで必要経費になります。
ただし、「修繕に250万円かかったから、その年に250万円すべてを経費にできる」とは限りません。
国税庁では、通常の維持管理や原状回復に該当する支出は修繕費とする一方、建物の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりする支出は「資本的支出」として区別しています。
資本的支出に該当する部分は、原則として減価償却によって複数年にわたり必要経費にします。250万円の工事を行う場合は、工事内容を確認し、税務上どのように扱われるのかも事前に確認しておきましょう。
売却と比較するときは5年・10年後まで計算する
賃貸にするか売却するか判断するときは、不動産会社から「月10万円で貸せる」と聞くだけでは不十分です。
まず、その実家を現在売った場合にいくらになるのか査定を取りましょう。そのうえで賃貸した場合の収支と比較します。賃貸なら、家賃、想定空室率、管理費、固定資産税、保険料、修繕費などを入れ、5年後や10年後にどれくらいお金が残るのか計算します。
また、築年数が進めば新たな修繕が必要になったり、家賃を下げなければ入居者が決まらなくなったりする可能性もあります。
一方、売却すれば将来の家賃収入は得られませんが、建物を管理する手間や将来の修繕負担から離れられます。売却時にも仲介手数料や税金などが発生する場合があるため、査定価格そのものが手取り額になるわけではありません。
「月10万円」ではなく賃貸と売却の手取り額を比較しよう
月10万円で貸せれば年間の家賃収入は120万円です。しかし、250万円の修繕費が必要だからといって、約2年で投資額を回収できるとは限りません。空室による家賃収入の減少に加え、管理費、固定資産税、保険料、将来の修繕費なども考慮する必要があります。
まず不動産会社に、想定家賃だけではなく「周辺の成約家賃」「想定空室期間」「年間管理費」「今後予想される修繕」まで確認しましょう。同時に複数社から売却査定を取れば、賃貸と売却を比較しやすくなります。
実家を手放したくないなど、金銭以外の事情もあるでしょう。その点も含め、5年後、10年後の収支を数字にして比較すれば、自分たちに合った活用方法を判断しやすくなります。
出典
国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
