相続した空き家を年間「30万円」かけて維持しています。不動産会社から「売らずに貸したほうがよい」と言われましたが、賃貸にすれば負担は減るのでしょうか?
年間30万円なら、10年間では単純計算で300万円です。そのため、「売却するより貸して家賃を受け取ったほうがよい」と提案されれば魅力的に感じるかもしれません。
ただし、賃貸にすれば必ず負担がなくなるとは限りません。貸し出すための修繕や入居後の設備トラブルへの対応など、新たな費用も発生します。
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年間30万円の維持費は家賃収入で補える可能性がある
現在、空き家の維持に年間30万円を支払っているなら、毎月平均では2万5000円の負担です。
仮に月8万円で貸し出せて12ヶ月入居が続けば、単純な家賃収入は年間96万円です。現在の維持費30万円だけと比較すると、家賃で負担を補えるように見えます。
また、誰も住んでいない住宅を保有し続ける場合と違い、賃貸にすれば資産から収入を得られる点はメリットです。
ただし、「月8万円で貸せる」という査定を受けても、必ずその家賃で入居者が見つかるとは限りません。周辺の賃貸需要や建物の状態などによって結果は変わります。
不動産会社1社だけの査定で決めず、複数社から家賃査定を受けると相場を判断しやすくなるでしょう。
空き家を貸すと新たな修繕費や管理費がかかることもある
賃貸化で注意したいのが、貸し出すために必要な費用です。
長期間空き家だった住宅では、水回りや給湯設備、エアコンなどの修理が必要になる場合があります。壁紙や床の状態によっては、入居者を募集する前に改修することもあるでしょう。
たとえば年間96万円の家賃を見込めても、貸し出す前に200万円の改修が必要なら、短期間では費用を回収できません。
賃貸開始後も費用は発生します。設備が故障すれば修理が必要になることがあり、不動産会社へ管理を任せれば管理に関する費用も考慮しなければなりません。
さらに、退去から次の入居まで空室になれば、その期間は家賃収入が減ります。そのため、年間家賃から税金や管理費、修繕費などを差し引くだけでなく、貸し出す前の改修費も含めて、何年で費用を回収できるか確認することが重要です。
売却と賃貸は「手元に残る金額」と将来の使い道で比べよう
売却と賃貸のどちらが適しているかは、金額だけでは決まりません。
たとえば将来、自分や家族がその家に住む可能性があるなら、賃貸として保有する選択肢も考えられます。ただし、普通借家契約では貸主の都合だけで契約の更新を拒めるとは限りません。将来使いたい時期が決まっている場合は、契約期間の満了で終了する定期借家契約も含めて検討しましょう。
一方、今後利用する予定がなく、維持管理の手間も減らしたいなら、売却も比較対象になるでしょう。賃貸では継続的な家賃収入が期待できますが、建物を所有し続けるため、修繕などの対応は続きます。
売却では継続的な家賃は得られなくなりますが、売却できればその後の維持管理に関する負担を減らせます。どちらか一方のメリットだけを見るのではなく、「今後何年間保有する予定なのか」まで考えて比較することが大切です。
貸す前に家賃査定と修繕費を確認して収支を計算しよう
年間30万円の維持費を負担している空き家でも、賃貸によって家賃収入を得られれば、負担を補える可能性があります。ただし、家賃の全額が利益になるわけではありません。
まず、不動産会社に『いくらで貸せそうか』だけでなく、「貸せる状態にするためにいくら必要か」も確認しましょう。そのうえで、貸し出す前の改修費に加え、固定資産税や保険料、管理費、将来の修繕費、空室期間などを考慮し、数年間の収支を計算します。
さらに、売却した場合の査定額も同時に確認すると比較しやすくなります。
「売るか貸すか」は、それぞれの収支や将来の使い道を確認して判断しましょう。ただし、一定の要件を満たす相続空き家の売却には、期限付きの税制上の特例があり、相続後に賃貸すると適用できなくなります。対象となる可能性がある場合は、貸し出す前に要件と期限も確認してください。
出典
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
国土交通省 定期建物賃貸借 Q&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
